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ニッチ用途の域を出ないMRAM、普及の鍵はコストと記録密度普及にはもう少し時間が必要(1/2 ページ)

幅広い用途でDRAMやSRAMの置き換えになると予想されているMRAM(磁気抵抗メモリ)。産業用途を中心に採用が進んでいるが、普及が加速するにはまだ時間が必要なようだ。

» 2014年07月02日 13時55分 公開
[Gary HilsonEE Times]

 不揮発性メモリであるMRAM(Magnetic RAM:磁気抵抗メモリ)は、幅広い用途でDRAMやSRAMに代わって使われるようになる可能性を秘めている。ただし、それにはもう少し時間がかかりそうだ。

 米国の調査会社であるCoughlin Associatesは、2014年春に発表した報告書の中で、「MRAMは年平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)50%で成長する見通しだ。MRAMとSTT-MRAM(スピン注入磁化反転MRAM)の売上高は、2013年は1億9000万米ドルだったが、2019年には21億米ドルに増加すると予想される」と述べている。

 Coughlin Associatesの創設者であるTom Coughlin氏は、「MRAMの魅力の1つは、CMOSプロセス技術との互換性にある。CMOSプロセスは成熟した技術であるため、3D NAND型フラッシュメモリと比べると適用する場合の課題が少ない」と述べている。同氏は、「MRAMの普及は、フラッシュメモリと同様の過程を経て進む」と予想する。「ニッチな用途で採用された後、コストの低下と記録密度の増加に伴って幅広い用途に普及する。STT-MRAMは特に、読み書き速度と耐久性に優れている」(同氏)。

 米国の市場調査会社GartnerのアナリストであるBrady Wang氏は、メールによるインタビューの中で、「MRAMは、SSDのキャッシュメモリとして搭載されるケースが増えつつある。ただし、記録密度はまだ非常に低く、産業用途が中心だ」と述べている。

 MRAMは、不揮発性という点でDRAMに勝っている。STT-MRAMは、NOR型/NAND型フラッシュメモリと同様に、外部電力の供給が途切れてもデータを保持でき、消費電力も少ない。構造が単純なのでSRAMと比べて微細化しやすく、製造コストの削減を図ることができる。さらに、メモリコントローラの設計も、NANDフラッシュに比べるとはるかに容易だ。

 Everspin Technologiesが製造するMRAMの現時点での最大記録密度は、64Mバイトである。同社は、今後2年間でこれを128Mバイト〜1Gバイトに増やしたい考えだ。民生機器での利用には、1Gバイトの記録密度が必要とされる(関連記事:スピン注入式の新型MRAMがいよいよ製品化、2015年にはギガビット品が登場へ)。

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