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» 2014年07月08日 11時20分 公開

日本の電力は足りているのか?――“メイドの数”に換算して、検証してみる(前編)世界を「数字」で回してみよう(2)(4/4 ページ)

[江端智一,EE Times Japan]
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消えた7人のメイドたち

 ところが、この「一人当たりメイド8人分の電力を消費している」という話が、我が家の、電力使用量の実体と全然合わないのです。

 東京電力の請求書に記載された、江端家(4人家族)の2014年4月における電力消費量は、345キロワット時でした。これを、上記の「電力メイド」の計算式に当てはめると、一人当たりのメイド数はわずか1.24人(34万5000ワット時÷30日÷24時間÷4人÷96.7ワット時)になってしまいます。

 江端家において、今年の4月にそのような「過激な節電」を試みた記憶はありません。それでは、残りの7人弱のメイドたちは、一体どこへ消えていってしまったのか?

「一人当たり常時8人程度のメイドを従えて生きている」はずですが……

 私、かなり真剣に探しました。

 そして、ついに、彼女たち(?)メイドの行き先を突き止めました。彼女たちは、我が家の外で働いていたのです。

 まあ、考えてみれば、当然です。

 私の乗った電車を動かし、エスカレータを動かし、私を30階のビルにある最上階の食堂までエレベータで運び、PCを作り、動かし、深夜の帰路の道を街頭で照らしてくれる、私のメイドたち。たった8人で、私のためによく尽くしてくれていると思います。ちなみに、2014年4月の、我が家で働いているメイド4.95人分の料金は1万987円でしたので、これを彼女たち1人当たりの時給に換算すると、約3.1円になります(1万987円÷30日÷24時間÷4.95人)。

 最後に、日本の発電所が作っている電力をイメージするために、ここでは「電力メイド」の計算を押し通します。その計算結果は、9億9947万1361.3人となりました。

 つまり、

・日本の発電所は、約10億人のメイドを国民に提供し、
・私たち国民は、彼女たちを不眠不休で働かし続けている

ということになります。


 では、前半はここまでとします。後半では、本コラムの本論である、「日本の電力、足りているの? 足りていないの?」について、検討してみます。


 さて、今回の連載では、多くの方からご協力を頂けることになりました。

 現在、私は、本連載で使い倒すつもりの「日本の全人口数のオブジェクト」を使ったシミュレータを作成中なのですが、そのシミュレータが生成する予定の大量データ(1億を軽く超えるデータ)の処理を行うために、大量データ処理ソフトウェア「AktblitzIII」を貸していただくことになりました。

 また、「AktblitzIII」のエンジンを担当されている株式会社ターボデータラボラトリー様、UIなどの開発を担当されているベイソフト株式会社様、データ処理技術を担当されている株式会社シイズ様、販売・保守を担当されている株式会社エスペラントシステム様より、技術的、その他のサポートをしていただけることになりました。

 また、株式会社NTTデータ数理システム様より、シミュレータのデータの数理解析およびベイズ推論を行うために、ベイジアンネットワーク構築ツール「BAYONET」を貸していただくことになりました。

 この場を借りて、御礼申し上げます。

※本記事へのコメントは、江端氏HP上の専用コーナーへお寄せください。



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Profile

江端智一(えばた ともいち)

 日本の大手総合電機メーカーの主任研究員。1991年に入社。「サンマとサバ」を2種類のセンサーだけで判別するという電子レンジの食品自動判別アルゴリズムの発明を皮切りに、エンジン制御からネットワーク監視、無線ネットワーク、屋内GPS、鉄道システムまで幅広い分野の研究開発に携わる。

 意外な視点から繰り出される特許発明には定評が高く、特許権に関して強いこだわりを持つ。特に熾烈(しれつ)を極めた海外特許庁との戦いにおいて、審査官を交代させるまで戦い抜いて特許査定を奪取した話は、今なお伝説として「本人」が語り継いでいる。共同研究のために赴任した米国での2年間の生活では、会話の1割の単語だけを拾って残りの9割を推測し、相手の言っている内容を理解しないで会話を強行するという希少な能力を獲得し、凱旋帰国。

 私生活においては、辛辣(しんらつ)な切り口で語られるエッセイをWebサイト「こぼれネット」で発表し続け、カルト的なファンから圧倒的な支持を得ている。また週末には、LANを敷設するために自宅の庭に穴を掘り、侵入検知センサーを設置し、24時間体制のホームセキュリティシステムを構築することを趣味としている。このシステムは現在も拡張を続けており、その完成形態は「本人」も知らない。



本連載の内容は、個人の意見および見解であり、所属する組織を代表したものではありません。



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