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» 2014年07月22日 15時45分 公開

ビジネスニュース オピニオン:IoTを考える――洗濯機とグリルの通信に、意味はあるのか (2/3)

[Junko Yoshida,EE Times]

信頼性の高い利用方法はあるのか?

 こうしたことが起こり得ることを想定した上で、IoTデバイスの信頼性の高い利用方法があるのかという質問を業界筋に投げかけてみた。信頼できる利用方法が確立されて初めて、IoTデバイスが相互に通信して、生活を向上させることが可能になると筆者は考える。「なぜ、洗濯機がガスグリルに話しかける必要があるのか」について、納得できる説明を得たい。

 IHS Technologyでアソシエートディレクタを務めるBill Morelli氏は、メーカー各社から提示されたユースケースとして、以下を挙げている。

  • リビングルームの大画面テレビで映画鑑賞をすると、照明がそれを感知し、光量を自動で調整する
  • 玄関のベルを、音を出す代わりに部屋の照明を点滅させるよう設定できるため、室内で赤ちゃんが眠っている時に来客がベルを押したとしても、赤ちゃんの眠りを妨げることがない
  • 夜遅く帰宅して、自動車のヘッドライトをうっかり消し忘れた場合、ガレージのセンサーからスマートフォンに自動メッセージが送信されるため、SMS(Short Message Service)による警告を受信することができる
  • 同様に、アイロンのスイッチを消し忘れて外出してしまった場合、スマートフォンで警告メッセージを受信できる

 Appleは、2014年6月に開催した「Worldwide Developers Conference(WWDC)2014」において、スマートハウスを構築するための機能「HomeKit」を発表した。この機能を使えば、特定の“場面”を想定した設定を行えるという(関連記事:iOSで作るスマートハウス、AppleのIoT戦略)。

  • ホームネットワークを“夜間モード”に設定すると、家中の全ての照明を消灯したり、全ての鍵を施錠したりできる
  • “休暇モード”に設定すれば、照明をランダムに点灯/消灯することができる他、スプリンクラーをスケジュール通りに動作させたり、モーションセンサーシステムを起動させたりすることもできる

 この他にも、これまで聞いたことがないような優れたアイデアがあるのかもしれない。しかし、この程度のユースケースで、“素晴らしいIoTの世界”を消費者にアピールすることができるのだろうか。ここ何年もの間、あちこちに出回って再利用されているようなホームオートメーションシステムの古いカタログの内容を、そのまま、まねただけなのではないだろうか。

 一方、米国の市場調査会社であるEnvisioneering Groupでリサーチディレクタを務めるRichard Doherty氏は、信頼性のある本来のIoTの利用アイデアに関して、少し違った見方をしているようだ。

  • 多くの国々では現在も、電力使用が集中しない時間帯に食器洗浄機を使用した方が、電気代が安くなるというメリットがある。大抵の地域において、電子レンジや冷蔵庫、洗濯機などの電化製品を同時に使わない方が、製品寿命を延ばせるだけでなく、ヒューズが飛んだりブレーカーが落ちたりするのを防ぐことができる
  • IoTは、安心感を提供することができる。例えば、離れて暮らす祖母が午前中に冷蔵庫を開けたどうか、Bluetooth対応歯ブラシを使ったかどうかなどを確認することが可能だ
  • 保険の分野にも活用できる。例えば、1日1マイルのウォーキングを行うと割引を受けられる保険に加入している場合、本当に歩いたかどうかを確認できる
  • 公共サービスにも対応可能だ。電力供給の一時停止などを防ぐために、IoT対応のエアコンの電力使用量を10%抑えることもできる

 Doherty氏の見方は、日常生活を進化させるもので、現在のIoTに対する考え方の進歩をうかがうことができる。ホームオートメーションの実現は、IoTがなくては容易ではないだろう。だが、より重要なのは、IoTがユーザーに安全や安心をもたらしているということだ。

Texas Instruments(TI)のチップはAppleの「HomeKit」をサポートする 出典:TI

 ホームオートメーションにおいて、IoTのもう1つの大きな進化は、スマートフォンで家中の電化製品や電子機器を操作することだろう。SMSによるアラート機能を備えることで、家電や電子機器は以前よりも“おしゃべり”になっている。

 だがこれもいい面ばかりではない。IHSのMorelli氏は、多くの人がボイスメールを無視しているように、あまりに大量のアラートが届くと、ユーザーはそれを無視するようになってしまうのではないか、と予想している。

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