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広がる無線給電の用途、民生機器から自動車までTECHNO-FRONTIER 2014(1/3 ページ)

TECHNO-FRONTIER 2014(テクノフロンティア 2014)では、昨年に引き続き無線給電技術が大きな注目を集めていた。ここでは、その一部を紹介する。

» 2014年07月30日 20時05分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

 「TECHNO-FRONTIER 2014」(テクノフロンティア/2014年7月23〜25日、東京ビッグサイト)では、例年のように無線給電技術を集めたエリアが設けられ、多くの来場者でにぎわった。給電方式と用途については、数年前のように、電磁誘導方式とスマートフォンの充電だけが目立つ展示ではなく、磁界共鳴方式(磁界結合方式)、ミリ波方式が紹介され、民生機器から産業機器、自動車まで用途の幅も広がっていた(関連記事:大電力の無線給電、産業用途でニーズが高まる)。

自動車に給電

 昭和飛行機工業は東北大学と実証実験を行っている、電気自動車への給電技術のデモを行った。電磁誘導方式を採用している。デモでは1kWを給電していたが、バス向けに30kWを給電することも可能だという。さらに、同社の大型無線給電システムでは最大150kWを供給できるとしている。

デモの様子。車体の下(赤く光っている場所)で無線給電を行っている(クリックで拡大)

 昭和飛行機工業は、無線給電で電気自動車を充電する実証実験は順調としながらも、「究極の目標は、走行しながら無線給電をすること。ただ、実現にはあと数十年はかかる」とみている。

 昭和飛行機工業は、AGV(無人搬送台車)向けの無線給電システム「SIPS-1000」なども提供している。SIPS-1000は高周波電源装置、給電ヘッド、受電ヘッド、充電コントローラで構成され、出力は最大1kW、伝送距離は0〜15mmである。

スマートホームとの連携

 IHIも、磁界共鳴方式を採用した、自動車向けの無線給電技術を展示した。同社は、三井ホームや本田技研工業のスマートホームにEV/HEV向けの無線給電技術を提供し、実証実験を進めている。単に自動車に給電するだけでなく、「強風などで異物が車体の下に入り込んだ場合、それを検知して給電を止める」異物検知システムの検証も進めるなど、実際の利用シーンや起こり得る現象を想定した実験を行っている。

 デモでは、その異物検知システムも披露された。棒を受電パッドと給電パッドの間(車体の下を模擬)に入れると、それを異物としてセンサーで検知し、充電がストップする。棒を取り除いた後は、自動で充電を再開したり、ポップアップ通知によって再開を選択したりできる。

左=デモに使用した受電パッドと給電パッド。今回のデモでは、50W以下の出力で異物検知を行った。右=異物を検知したときの通知画面(クリックで拡大)

 IHIの担当者は、「より大きな電力を給電できるようにするかは、ニーズを見て考えたい。既存の技術をベースにできるので、大電力への対応は技術的にはそれほど難しくはない」と述べている。

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