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ナノ炭素材料の実用化を加速、16テーマの助成事業と3委託事業を開始材料技術

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、ナノ炭素材料の実用化を加速するため、新たに16テーマの助成事業と3つの委託事業を開始すると発表した。この事業期間は2014〜2016年度の3年間となる。

» 2014年08月15日 11時30分 公開
[EE Times Japan]

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2014年8月、ナノ炭素材料の実用化を加速するため、新たに16テーマの助成事業と3つの委託事業を開始すると発表した。新たな事業期間は2014年度から2016年度の3年間で、「革新的なナノ炭素材料」と「安全性・特性評価技術」の開発を目指す。

 カーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレンなどのナノ炭素材料は、軽量で熱伝導率が高い、などの特長を持つことから、構造部材や放熱部材へ応用したり、導電性材料として利用したりすることで、高い省エネルギー効果が期待されている。

ナノ炭素材料の特長とその応用例 (クリックで拡大) 出典:NEDO

 2014年度より新たな助成事業として開始する「ナノ炭素材料の実用化技術開発」では、ナノ炭素材料透明導電膜や、ナノ炭素材料高耐熱複合部材などの開発を行う計画で、16テーマが挙がっている。助成予定先は東レやNEC、パナソニックなどである。

助成事業のテーマ名と助成予定先
テーマ名 助成予定先
半導体型単層カーボンナノチューブ 半導体ポリマー複合体トランジスタの開発 東レ
イオンを用いない金属型・半導体型CNT分離の実用化技術開発 NEC
フラーレン類生産性向上技術開発と実証試験 昭和電工
CNT透明導電膜の開発 東レ
グラファイト/グラフェンパウダーを活用した機能性複合材料の実用化 パナソニック
ナノ炭素材料軽量導線の開発 帝人
界面化学制御によるCNT複合材料のイノベーションと実用化 日信工業
高熱伝導高分子複合材料(放熱材料)の開発 日本ゼオン
高効率CNT合成技術の開発 日本ゼオン
ウェーハ状大面積グラフェンを活用したテラヘルツ帯デバイスの実用化 住友電気工業
カーボンナノチューブによるCFRP製スポーツ用品の研究開発 美津濃
カーボンナノチューブ超高分散材料の大量生産技術の開発 GSIクレオス
高濃度カーボンナノチューブ分散液の作製及び量産化技術の構築 KJ特殊紙
酸化グラフェン大量生産技術の確立 日本触媒
メタン直接改質法によるLIBマリモ状多層CNT-Si系負極材料の開発及び事業化 戸田工業
nano-G(爆轟ナノグラファイト)応用製品の実用化 神戸製鋼所
出典:NEDO

 新たに開始する委託事業は3つある。特に、産業として規模を拡大させていくためには欠かせない、「安全性や定量的な評価を行うための技術」を開発し、業界における共通基盤技術としての確立を急ぐ考えだ。

委託事業の概要と採択予定先 (クリックで拡大) 出典:NEDO

 2010年度から実施している「低炭素社会を実現するナノ炭素材料実用化プロジェクト」(最終年度は2016年度)では、ナノ炭素材料をベースとした高耐熱複合材料、フレキシブル薄膜、高電子移動度半導体素子などの実用化を加速するための研究開発に取り組んできた。さらに、安全性や分散体評価技術を開発し、共通基盤技術として確立することで、さまざまな企業がナノ炭素材料の研究/実用化に関わりやすくすることを狙いとしている。

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