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間もなく開催されるIntelの「IDF」、14nmプロセス技術の確立はいかに?ビジネスニュース 企業動向

Intelの開発者向け会議「Intel Developer Forum 2014(IDF 2014)」が、間もなく開催される。低消費電力の64ビットプロセッサ「Quark」や14nmプロセスを用いた「Core M(Broadwell)」などを中心に、同社の最先端技術が発表される見込みだ。14nmプロセス技術の進捗(しんちょく)にも大きな関心が寄せられるだろう。

» 2014年09月08日 11時50分 公開
[Rick MerrittEE Times]

 Intelの開発者向け会議「Intel Developer Forum 2014(IDF 2014)」が、米国カリフォルニア州サンフランシスコにおいて2014年9月9日〜11日に開催される。IntelのCEO(最高経営責任者)であるBrian Krzanich氏がIDF 2014において何を発表するのか、詳細はまだ分からないが、話題を独占するのは難しいかもしれない。

 というのも、Krzanich氏が基調講演に登壇する2014年9月9日、同じくAppleのCEO(最高経営責任者)であるTim Cook氏も、IDF 2014会場のすぐ近くで新製品の発表イベントを行う予定だからだ。「iPhone 6」だけでなく、「iWatch」や「iPhablet」も発表するとみられている。この日はAppleが話題を独占することになるだろう。

「IDF 2013」では、低消費電力の64ビットプロセッサ「Quark」が発表された

「Quark」がIoTをけん引

 Krzanich氏は2013年、CEOとして初めてIDFに参加し、「Pentium」レベルのプロセッサ「Quark」を発表して注目を浴びるという栄誉に預かった。Quarkは、モノのインターネット(IoT)分野をターゲットとする。同氏は、IDF 2014における重要なテーマの1つとして、このQuarkが市場をけん引していることを実証しなければならない。

 Intelは、2013年10月にQuarkを搭載したArduino互換開発ボード「Galileo(ガリレオ)」を発表している。IDF 2014では、メイカー向けのIoT市場にさらなる注目が集まるとみられる。この他にも、IoT関連でIntelが注力する分野としては、ウェアラブル機器が挙げられるだろう。例えば、2014年2月6日〜13日に開催された「New York Fashion Week」において、同社はブレスレット型端末を発表している。同端末は2014年後半に発売予定だという。また、IDF 2014のステージでは、何体かのロボットが隊列を組んで行進し、Quarkをアピールする可能性もある。

 ただ、それはショーとしては面白くても、大きな目玉とは言えないだろう。

 米国の半導体市場調査会社であるInsight64社でプリンシパルを務めるNathan Brookwood氏は、「最近のカンファレンスではIoT関連が必ず話題に上がる。Intelはおそらく、誰もが既に知っていることをさらに詳しく語るだけで、あっと驚くような数々の新しい事を発表することはできないだろう」と述べている。

「Broadwell」をコンバーチブル型タブレット端末に搭載

 Intelは2014年8月に、14nmプロセスを採用したCPU「Core M(開発コード名「Broadwell-Y」)の概要を公開したばかりだ(関連記事:Intelの14nm世代CPU「Core M」、厚さ9mmのタブレットが実現可能に)。Core Mは、2in1ノートPC/タブレット端末向けに出荷されている。

 IntelのKirk Skaugen氏は、ドイツ ベルリンで2014年9月5日(現地時間)から開催中の国際コンシューマ・エレクトロニクス展「IFA2014」において、Core Mを正式にリリースした。Core Mを搭載した、ファンレスで薄型・軽量のx86ノートPCは、タブレット端末としても使用できる。市場では、ノートPCとしても使用可能なARMベースのタブレット端末が優位性を拡大しているが、それに対する競争力も高まるかもしれない。

 Intelは2014年6月に開催された「COMPUTEX TAIPEI 2014」で、Core Mのリファレンスデザイン「Llama Mountain」を披露した(関連記事:タブレットに注力するインテル、14nmプロセスの「Core M」も年内に出荷開始か)。IFA 2014には、Wintel(Windows+Intel)搭載のタブレット端末が多数出展されている。その中には、AtomベースのSoC「Bay Trail」を搭載した120米ドルという低価格端末もあった。

 Core Mは消費効率に優れており、Appleの「Macbook Air」や「iPad」のような低消費電力設計も可能だ。Brookwood氏は、「Intelのx86性能は、要求の厳しいモバイルユーザーも十分に満足させるものだ」と評価している。

14nmプロセス技術の長所

 IntelのMark Bohr氏は2014年8月、「当社が開発した14nmチップは、22nm世代と比べてトランジスタ1個当たりのコストを低く抑えられる」と発表し、半導体業界を驚かせた。一般に、20nmプロセス以降の微細化は、ダブルパターニングなどのリソグラフィ技術が必要となり、製造コストは上昇するとされてきたからだ。

 Krzanich氏はIDFの基調講演で、Bohr氏の発表と同様に、Intelの14nmプロセス技術の長所をアピールすると考えられる。だが現時点では、14nmプロセス技術をモバイルアプリケーションプロセッサに適用するかどうかについては、明言しないと予想される。

x86プロセッサを搭載したLenovoのスマートフォンを掲げるKrzanich氏

【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】

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