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» 2014年09月26日 07時00分 公開

セイサク君、セイコちゃんの“妹分”が6年ぶりに誕生:高精度のセンサー制御で一糸乱れぬマスゲーム! 村田製作所の玉乗りロボット (2/3)

[三月兎,EE Times Japan]

信頼性の高いジャイロセンサーで玉乗りを実現

 チア部のロボットたちは、三脚状の足の先端にある3つのモーターでボールをホールドしている。開発担当者の北河 満氏によれば、「機構のアイデアはすぐに決定したが、ロボットをボールの上に立たせるのに苦労した」そうだ。

 ロボットはボールの上で停止しているときは、目で見て分かるくらいにフラフラと揺れている。自転車に乗ったまま微動だにしない“不倒停止”を得意とするセイサク君とは違う技術が搭載されていることが、このことからも分かる。

ボールの上でバランスをとる、村田製作所チアリーディング部

 セイサク君には左右方向1軸、セイコちゃんは前後・左右の2軸のジャイロセンサーでバランスをとっている。チア部には、前後・左右・回転方向と3軸のジャイロセンサーが搭載された。

 セイコちゃんは、セイサク君の制御技術を応用して開発されたが、チア部に使用されたジャイロセンサー技術は、その延長上にあるわけではないという。

 実は、チア部の開発をスタートした時点では、開発メンバーもこれまでの技術の延長線上で玉乗りができるだろうと考えていたそうだ。しかし開発を始めてすぐに壁にぶつかったという。

 車輪型ロボットの場合は、前後に移動し左右に倒れる。重心の移動方向によって、ロボットの状態を推測できた。しかし玉乗りロボットは、全方向に移動し全方向に倒れる。従来の解析手法では、ロボットが移動中なのか倒れそうなのかの判断ができないのだ。

車載向けのジャイロを搭載

開発担当者の北河満氏。「玉乗りを実現するため、今までの知見を壊し、制御プログラムを作り替えざるを得なかった」という。

 開発メンバーは、姿勢制御分野で活躍している人物や、制御理論の研究者に相談。もらった情報を元に、ジャイロセンサーで取得した傾き角や速度、加速度の値をどのようにフィードバックするか検証を重ねた。

 搭載しているジャイロセンサーもこれまでのものとは違う。セイコちゃんまでは、カーナビ用のジャイロセンサーを使用していたが、チア部では、より信頼性の高い自動車の姿勢制御に使用されているジャイロセンサーに変更した。自動車の走行中、横滑り防止に使われる誤作動が許されないセンサーだ。これを使わなくてはならないほど高度な制御がロボットチア部には使われている。

 ロボットがボールの上で停止できるようになったのが、2014年5月。そこから移動のプログラムを作り込み、前進できるようになった時は6月に入っていたそうだ。

 チア部の移動速度は秒速30cmだという。過去の記事によるとセイコちゃんは、デビュー当時が秒速5cm、2009年モデルで秒速15cmだ。それと比較するとかなりの高速移動になる。

 チア部も、秒速10cmまでは比較的速い段階で達成したという。開発メンバーはここで妥協せず「見ている人に、驚きと感動を与えるためにはスピード感が必要」とブラッシュアップし、移動速度をあげた。

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