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日本の論文採択数は米国、韓国に次ぎ3位――ISSCC 2015の概要発表ISSCC 2015プレビュー(3/3 ページ)

» 2014年11月17日 18時52分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]
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イメージセンサーやメモリ技術で強みを発揮

 日本からの採択論文数は25件となった。この中で注目論文のいくつかを紹介する。RF分野では、東京工業大学が、2.5Mビット/秒、32-QAM変調を113μWで実現した5.8GHzのRF給電型トランシーバ技術を発表する(講演番号は13.8)。ワイヤライン通信の分野では、40dB伝送損失を補償した省電力のトランシーバ技術を日立製作所が発表(講演番号は3.2)、電気と光技術を融合した、いわゆる「シリコンフォトニクス」技術を用いたトランシーバ技術を富士通研究所が発表する(講演番号は22.2)。

 イメージセンサーやディスプレイの領域は、アジア地域企業や大学が強い分野である。特に日本からはイメージセンサーで、ソニーやNHK放送技術研究所(NHK技研)、静岡大学、半導体エネルギー研究所など5件の論文が採択されている。中でも、注目を集めているのがNHK技研とForza Siliconが発表するイメージセンサー技術だ(講演番号は6.2)。8K動画を可能とする、1億3300万画素を内蔵したイメージセンサーで、逐次比較型A-Dコンバータとアナログマルチプレクサ回路によるパイプライン動作で、高いフレームレートを実現した。

 低電力デジタル技術の分野は、ウェアラブル機器や車載システム向けのSoC技術に軸足を移しているという。東芝は、独自アルゴリズムの採用で、歩行者検出率を99.65%まで高めた車載システム向けSoC技術を発表する(講演番号は18.2)。1.9TOPSの処理性能と564GOPS/Wの電力効率を達成したという。

 メモリ技術の分野もアジア勢が強みを発揮する。14論文中、アジアからは12件が採択され、このうち4件が日本勢である。特に、不揮発性メモリ技術に関して、東芝(講演番号は7.1および7.5)、ルネサス(講演番号は7.3)、中央大学(講演番号は7.7)が発表する。

 新しい分野の開拓に向けた、先端回路/システム技術であるテクノロジダイレクションでは、日立製作所が発表する(講演番号は24.3)。磁性体スピンモデルを応用して、最適化問題などを効率よく解くための手法であるイジングマシンを、SRAMベースのアーキテクチャで設計/製造した。通常のノイマン型コンピュータに比べて1800倍の電力効率を実現することができたという。

12月よりWeb上で新企画がスタート

 なお、会期とは別にISSCCプレビュー「Circuit and System Insights」として、新たなプログラムが今回より始まる。「A-Dコンバータ」や「電源」、「アナログ回路設計」など、11分野で著名なエキスパートが10〜20分程度で教育的な講義を行い、その模様をビデオに収録しWeb上に公開するというもの。公開期間は2014年12月1日から2015年2月28日までの予定となっている。

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