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ノーベル賞の天野氏、GaNパワー半導体研究へ抱負NEDOがパワエレシンポジウム(1/2 ページ)

NEDOは2014年11月27日、NEDOのパワエレ分野への取り組みを紹介する記者会見を行い、開発プロジェクトに参画する名古屋大学教授の天野浩氏らが今後の研究開発の方針などを明らかにした。

» 2014年11月28日 15時30分 公開
[竹本達哉EE Times Japan]

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2014年11月27日、パワーエレクトロニクスの最新動向や、内閣府などと連携して実施している開発プロジェクトを紹介する内容の「第1回 NEDOパワーエレクトロニクスシンポジウム」を都内で開催した。同シンポジウムの開催に先立ち、NEDOのパワエレ分野への取り組みを紹介する記者会見を行い、ノーベル物理学賞を受賞した名古屋大学教授の天野浩氏らが今後の開発方針などを述べた。

会見に出席したSIP次世代パワーエレクトロニクス開発担当プログラムディレクター 大森達夫氏(左)、NEDO理事長 古川一夫氏(中央)、名古屋大学教授の天野浩氏(右)

日本の競争力を維持、強化

 シリコン(Si)によるパワーデバイスが物理的な要因から性能限界を迎えつつある中で、NEDOでは、炭化ケイ素(SiC)など新たな半導体材料を用いたデバイスによる次世代パワーエレクトロニクスの関連開発プロジェクトを実施してきた。2014年度は、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の中の1開発課題である「次世代パワーエレクトロニクス」の開発プロジェクトに参画する他、経済産業省のプロジェクトである「次世代パワーエレクトロニクス応用システム開発」などの開発プロジェクトを実施している。

NEDOが取り組む次世代パワーエレクトロニクス関連プロジェクト (クリックで拡大) 出典:NEDO

 会見であいさつしたNEDO 理事長の古川一夫氏は、「パワエレ分野は、学術的、産業的にもずっと日本がリードしてきたが、昨今では世界的に競争が激化してきている。NEDOとして、パワエレ分野での日本の競争力をさらに強めることに貢献したい」とパワエレ関連の開発プロジェクトを協力に進めていく姿勢を表した。

SiCに加え、GaNの研究開発も

 SIP次世代パワーエレクトロニクス開発プログラムのプログラムディレクターを務める三菱電機開発本部役員技監の大森達夫氏は、「(2013年度まで実施してきた最先端研究開発支援プログラム[FIRST]で)SiCパワーデバイスがSiパワーデバイスよりも電力損失を1/10まで低減することを実証し、一部のエアコン、鉄道車両で使用されるに至った。(2014年度からの)SIPでは、SiCパワーデバイスのさらなる高性能化とともに、窒化ガリウム(GaN)やダイヤ、酸化ガリウム(Ga2O3)といった次世代半導体開発や、次世代パワーデバイスの使いこなし技術の向上を目指す」とSIPでの開発の狙いを説明した。

左=SIP次世代パワーエレクトロニクス開発プログラムの目指す方向性 / 右=SIP次世代パワーエレクトロニクス開発プログラムの開発テーマ (クリックで拡大) 出典:NEDO
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