LED照明は進化を続けている。省エネ効果に加えて、生活スタイルや生活シーンなどに合わせた高度な「あかり」で住空間の演出を可能とする。その上、IoT(モノのインターネット)により、ネットワーク上でLED照明を管理/制御することもできる。スパンションは、こうしたインテリジェント照明に向けて、通信機能搭載のLEDドライバICを提供する。ライティングジャパン2015(2015年1月14〜16日、東京ビッグサイト)では、スパンション製LEDドライバICを採用したインテリジェント照明のデモ展示を行った。
2014年のノーベル物理学賞受賞で注目を集めた「青色LED」。この発明が照明システムの市場を大きく変えようとしている。これまでの白熱電球や蛍光灯を用いた照明に比べて、LED照明は消費電力が小さく寿命も長い、という特長がある。このため、白熱電球などを用いた照明システムから、LED照明へと置き換えが進む。「日本でもLED照明の普及率は40%を超えた。これからも需要は拡大する」と見られている。
LED照明に置き換えるメリットは省エネ効果だけではない。光源のちらつきがなく、調光/調色などの制御技術により、さまざまなあかりで住空間を演出できるようになった。例えば、オフィスや住宅の照明において、午前中は青みの強い照明に設定し、夕方や夜間は暖色系の照明にすれば、快適で生産性を高める住空間を演出することができるといわれている。しかも、通信機能を備えたLED照明システムは、ネットワークを介して調光/調色制御や器具の集中管理を行うことが可能となる。
スパンションのアナログ事業部門は、富士通時代を含めて40年以上も前から電源回路の設計を行っており、パワーマネジメントIC(PMIC)なども手掛けてきた。アナログ技術とマイクロコントローラ技術、そしてミックスドシグナル技術を保有する同社は、おおよそ3年前からLED向けドライバIC市場にも参入した。
一般的なLED照明用ドライバICに加えて、最近はインテリジェントLED照明に向けて、通信機能や周辺回路を統合したドライバIC「S6AL211シリーズ」などの開発に注力している。「照明システムはインターネットに接続され、遠隔地からの制御が可能となる。そして、照明システムに取り付けられたセンサー情報などがビッグデータとして活用されることになる可能性が高い」との判断があったからだ。
S6AL211シリーズは、照明制御の有線通信規格である「DALI(Digital Addressable Lighting Interface)」や、近距離無線通信規格「Bluetooth Smart」などを接続するためのインタフェース機能、調光/調色などの制御機能をワンチップに統合したICである。店舗照明システムなどに用いられている照明ネットワークシステムの通信規格「DMX」への対応も検討している。
S6AL211シリーズは、最大4チャネル分のパワーマネジメント機能を内蔵している。外部にスイッチング素子やコイルなどを組み合わせてパワーステージブロックを構成することで、LEDモジュールを駆動することが可能となる。最大出力は72Wで、チャネル当たり18Wとなる。出力電流は最大1Aで、最大5灯直列LEDチップを駆動することができる。調光範囲は100%から0.1%と広い。調光制御は、1%以上は電流制御で行い、1%以下はPWM制御とすることで、調光範囲を拡大した。
また、外部の無線通信モジュールなどに電源を供給するためのLDOを始め、プリドライバやセンスアンプなど、周辺回路をICチップに統合した。これにより、LEDモジュールを駆動させる回路ブロックの部品点数を削減することができる。競合他社のLEDドライバICで同等の機能を実現しようとした場合、周辺にマイクロコントローラや複数のLDOなどを外付けする必要があるという。プリント基板への実装面積は競合製品に比べて、最大25%の削減が可能となる。さらに、照度センサーや人感センサーなどの信号を入力するためのインタフェースも備えた。
「S6AL211シリーズは、外付けのマイクロコントローラが不要なため、システム開発者は回路設計が容易となり、プログラム開発などの労力も軽減することができる」と話す。これまでも、マイクロコントローラやLEDドライバIC、個別部品などを組み合わせて回路設計すれば、通信機能や調光/調色機能を備えたLED照明を実現することはできた。S6AL211シリーズは、これらの主要な機能を1チップに集積しているのが特徴だ。
つまり、通信回路の設計やマイクロコントローラ応用などについて、十分な知識や経験がない専門の照明器具/システムメーカーや技術者であっても、S6AL211シリーズを活用することによって、比較的容易にインテリジェント照明を開発することが可能となる。ビジネス規模が小さいユーザーにとっても、開発の工数とコストを抑えることができるなど、そのメリットは大きい。
DALI規格対応LEDドライバIC「S6AL211A31」は、2014年12月より量産を開始した。このS6AL211A31を実装したインテリジェント照明用LEDドライバ評価ボード「S6SAL211A31」は、DALI通信規格IEC62386に対応しており、DALIマスタやLEDモジュールを接続して254段階の調光やフェード、アドレッシング/グルーピング、シーンの設定や評価を行うことができる。ちなみに、DALI規格は欧州のオフィス照明システムのほぼ4割に実装されているという。
ライティングジャパンのブースでは、DALI規格対応LEDドライバIC「S6AL211A31」を実装した、形状が異なる複数のインテリジェントLED照明を設置して、住空間に合わせた調光などの実演デモを行った。DALI規格に対応した市販の調光器を用いたデモでは、事前に設定した照明パターンを「シーン1」、「シーン2」などとして登録しておき、設定されたボタンを押すだけで設定済みのシーンを再現して見せた。点灯/消灯シーケンスなども設定できるという。また、PC上のGUIにより、ネットワークに接続されたLED照明の状態監視/制御のデモも行った。
Bluetooth Smart対応LEDドライバIC「S6AL211A94」は、2014年12月よりサンプル出荷を始めた。Bluetooth Smart対応のインテリジェント照明用LEDドライバ評価ボード「S6SAL211A94」には、このS6AL211A94とBluetooth Smart対応の無線モジュールが実装されており、UARTを介して接続されている。LEDドライバICを制御するためのコマンドは、スパンション独自のもので、S6AL211A94には事前に組み込まれているという。
展示会のブースでは、スマートフォンを調光器として用いた。タッチパネルで指示した発光色のコマンドをスマートフォン側から無線で送信し、LEDドライバICを制御して調光/調色するデモを行った。LED照明にはBluetooth Smart対応の無線モジュールが実装されたインテリジェント照明用LEDドライバ評価ボードが内蔵されており、4チャネルはそれぞれR(赤)、G(緑)、B(青)およびW(白)の4色に割り当てた。
S6AL211シリーズは、通信機能とドライバ機能を統合することにより、機能実現に加え、照明メーカーなどドライバICを使う人に対する「つかいやすさ(作りやすさ)」を向上させたICである。
スパンションは、ユーザーに優しいドライバICを目指すことを基本として、今後、他の通信規格対応やLEDドライバ機能自体の性能向上させた統合型ドライバICのラインアップを増やしていくことで、インテリジェント照明市場の発展に貢献をしていく。
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提供:Spansion Inc.(スパンション)
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2015年2月20日
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