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» 2015年03月04日 09時00分 公開

三重富士通セミコンダクター 社長 八木春良氏:“日本のピュアファウンドリ”に本気で挑む三重富士通の勝算 (2/4)

[竹本達哉,EE Times Japan]

純粋なファウンドリとして

EETJ これまで富士通セミコンダクター、特に三重工場は、設計開発機能と製造機能を一貫して持つ体制を生かしたCOT*)事業を展開されてきました。今後、三重富士通セミコンダクターとして、COTに似たサービスを提供されるのでしょうか。

八木氏 これまでの富士通セミコンダクターは(現状の三重工場が対応していない)40nm以降の微細プロセスでは、社外の工場を使ったビジネスを展開した。そして最近ではファブレスでのビジネスの比重が高まっていた。

 そうした経緯もあって、ASICのインプリメンテーションやASSPに関連する設計機能の大半はソシオネクストが引き継いだ。そうは言っても、工場だけでは事業は行えないので、ライブラリやSRAMを設計できるリソースは確保している。ただし、そんなに大きな規模ではない。

*)COT:Customer Owned Tooling。ユーザーが設計、開発したLSIを製造する事業。ただ、単なる製造受託ではなく、設計段階からユーザーと共同開発も行い手戻りのない“一発完動”の設計製造サービスの提供を目指した富士通独自の事業モデル。

存在意義

EETJ 従来の三重工場の強みの1つであるCOTビジネスが展開できない中で、どういった面で競合ファウンドリと差異化していくのでしょうか。

三重富士通セミコンダクターの工場外観 出典:三重富士通セミコンダクター

八木氏 三重工場は、これまで90nmプロセスから55nmプロセスまでの対応で、この前、発表した通り、UMCの出資を受けることで40nmプロセス対応を進めることを決めた。しかし、正直言って、プロセス技術としては差異化できない。生産規模についても、差異化の要素にはならない。

 そこで差異化するには、プロセス要素的なものに、ライブラリ、IPなどでちょっとした特色を出すしかない。ファウンドリとして、使ってもらうために不可欠な“標準的なIP/ライブラリ”は一通りそろえた上で、これから求められる“IP/ライブラリ”を独自にそろえていくことになる。

 われわれは、どんな顧客のニーズにも応じられるファウンドリにはなり得ない。けれども、当社とフィットする顧客は必ずいるはずと考えている。

低消費電力、不揮発メモリ、RF

EETJ 競争力のあるIP/ライブラリとはどのようなものでしょうか。

八木氏 これまで三重工場は、ハイエンドサーバ向けのとんでもなく高速なプロセスを手掛けてきた。もちろん、サーバ向けの顧客がいる限り継続していくが、サーバだけでは事業が広がらないので、これからは思いっきり小さいパワーが求められるところに向けて、再び強化していこうと思っている。他社で、できないぐらいの超低消費電力プロセス技術を65nm、55nmで構築してきて、これから40nmでも開発しようとしている。

 世界でどこも作れない低消費電力の技術を目指しているが、それだけでは差異化できるわけでもない。

 結局、重要なのは、この先、何が求められ、何が当たるかということに尽きる。

 とはいえ、低消費電力は間違いなく求められる要素の1つだと考えてはいる。

EETJ 低消費電力技術以外の差異化技術は?

八木氏 1つは、不揮発メモリだ。富士通セミコンダクター時代から、マイコン混載用の不揮発メモリ(フラッシュメモリなど)を手掛けてきたが、少し駆動電圧が高い技術であり、これを低電圧化させるべく開発に着手している。1年以内にも40nmプロセス対応の不揮発メモリを作りたいと思う。

 もう1つは、無線に向けたRF(高周波)技術。低消費電力、不揮発メモリ、RFの3点セットをバランス良い仕様でそろえていきたい。

EETJ 低消費電力、不揮発メモリ、RFの3つで独自性を追求していくということですか。

八木氏 難しいことなのだが、IPを標準化していかなければ使ってもらえないのだが、かといって、標準化してしまうと当社で製造する意味合いがなくなる。

 RFはどちらかというと、標準的なもので、安心して使えるさまざまなツールに対応したデザインキットを取りそろえていく。不揮発メモリについては、いろいろなファウンドリがサポートしようとしてきたが、あまりうまくいっていない領域だ。そこでサポートがあまりなくても安心して使ってもらえる独自の不揮発メモリを提供したい。具体的にはチャージポンプを多く積まなければならないメモリは設計が難しくなるので、そうした負担のない不揮発メモリを提供していく。

 低消費電力技術については、過去からやってきているDDC(Deeply Depleted Channel)トランジスタ技術を追求していこうと考えている。

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