ルネサスの最新半導体ソリューション（8）――省エネに貢献するモーター制御ソリューション：福田昭のデバイス通信（10）（1/2 ページ）

単相誘導モーターを低コストでインバータ化

　今回も、ルネサス エレクトロニクス（以下は「ルネサス」と呼称）の顧客向け講演会兼展示会「Renesas DevCon JAPAN in Osaka」（以下は「デブコン大阪」と呼称）から、同社の最新ソリューションを紹介する。前回に続き、「ホーム（家庭）」をテーマとする主な展示をご報告しよう。前回はヘルスケアに関する主な展示をご説明した。今回は、モーター制御に関する主な展示を解説する。

　マイコンによるモーター制御は、ルネサスが最も得意とする分野でもある。モーターを搭載した家電製品では消費電力の低減に対する要求が強い。この要求に応える基本的な解答が、モーター制御のインバータ化である。

　展示会では、単相誘導モーターを簡単にインバータ制御に変更するソリューションを強くアピールしていた。2台の冷凍冷蔵庫を展示ブースに持ち込み、単相誘導モーターの制御方式の違いによる、消費電力の差を実際の運転状態で来場者に見せていた。

　モーターにはさまざまな方式がある。単相誘導モーターは低コストのモーターであり、低価格の家電製品で使われることが多い。したがってインバータ化も、低いコストで実現することが求められる。ルネサスは低コストで簡便なインバータ化ソリューションとして、インバータ・モジュールと制御パラメータ自動調整ツールを開発し、提供している。

冷凍冷蔵庫の単相誘導モーターで消費電力を比較。左が従来制御方式、右がインバータ制御方式（クリックで拡大）

従来制御方式での消費電力と温度（冷凍庫）。64.8W、マイナス6.9℃（クリックで拡大）

インバータ制御方式での消費電力と温度（冷凍庫）。42.9W、マイナス7.4℃（クリックで拡大）

単相誘導モーターをインバータ化するソリューションの説明資料。インバータ化によって消費電力の低減や回転速度の無段階調整などが可能になる（クリックで拡大）