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COT制御ながら6MHzの高速スイッチングを実現した高速過渡応答DC-DCコンバータ電源設計(2/2 ページ)

» 2015年05月22日 20時00分 公開
[竹本達哉EE Times Japan]
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コンパレータを高速化し6MHz対応に

 トレックスでは、こうしたCOTの短所を補った独自の高速過渡応答スイッチング制御技術「HISAT-COT」を開発し、2014年から量産製品に適用してきた。今回、さらにHISAT-COTを進化させ、XC9259シリーズ/XC9262シリーズの製品化に至った。


左=独自の高速過渡応答制御技術「HISAT-COT」の概要 / 右=HISAT-COTの理想動作波形 (クリックで拡大) 出典:トレックス・セミコンダクター

 XC9259シリーズなどに適用した新世代のHISAT-COTは、コンパレータを高速化し、従来、2MHzが最高だった発振周波数を6MHzに高速化し、出力コンデンサなどを小型化できる高速スイッチング動作を実現。従来のHISAT-COTで実現していたリップル注入によるリップル成分を注入し、リップルを抑制する技術も含め、より小型の出力コンデンサ(1005サイズなど)が使えるようになった。HISAT-COTは、入力、負荷変動に応じてオン時間を変えられる技術であることなどから、「一般的なCOT制御方式に比べ、周波数変動が少ない」とし、発振周波数6MHzのXC9259シリーズの周波数変動幅はおおよそ1MHz幅未満に抑えている。

6MHz動作などにより従来のHISAT-COT搭載製品よりも電源回路サイズを80%程度削減できる (クリックで拡大) 出典:トレックス・セミコンダクター

 HISAT-COTの特長である高速過渡応答速度は、固定周波数制御方式のDC-DCコンバータに比べ8倍程度速いとしている。

パッケージも小さく、薄く

LGA-8B01パッケージのイメージ 出典:トレックス・セミコンダクター

 XC9259シリーズは、最大出力電流1.0Aで、出力電圧範囲は0.8〜3.6Vで、0.05Vステップで内部設定できる。入力電圧範囲は2.5〜5.5Vでリチウム電池電源や5V系電源に対応している。動作モードとしてPWMモードと、PWM/PFM自動切り替えモードが選択可能だ。

 パッケージは、1.2×1.4mmサイズで薄さ0.3mmを実現した低オン抵抗パッケージ「LGA-8B01」を採用している。

 トレックスでは、HISAT-COT/LGA-8B01パッケージを使った1.5A出力/発振周波数1.2MHzないし3MHzのXC9262シリーズも製品化。さらに、XC9259/62シリーズと同様のチップをSOT-25やUSP-6C(1.8×2.0×0.6mmサイズ)を採用したXC9257/同58シリーズも製品化し、既に量産を実施している。なお、サンプル価格は、いずれの製品も100円(税別)となっている。

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