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» 2015年05月27日 12時00分 公開

勝ち抜くための組織づくりと製品アーキテクチャ(4):「iPhone」に見る新たな価値の作り方〜企業が追求すべき「意味的価値」とは? (3/4)

[世古雅人,EE Times Japan]

何が「意味的価値」となるのか

 では、意味的価値を意図的に仕込むことはできるのだろうか? 製造メーカーが「製品のこの部分に意味的価値をこう付加した」と説明するのは難しいはずだ。なぜなら、意味的価値は「顧客が主観的に付ける価値」であって、メーカーが主観的な立場で付与するものではない。さらに、一生懸命、顧客ニーズを拾い上げたところで、意味的価値となり得るかどうかなどの見極めは難しい。顧客ニーズを実現するために、あれもこれもと機能を追加した結果、どこのメーカーの製品も似たようなものになってしまい差別化ができなくなる。過剰スペックも招きやすく、過当競争にもなりやすい。

 どうすればメーカーは、意味的価値を作ることができるのだろうか。

(1)これまでにない新しい機能を提案する

顧客も気づいていなかった新しい機能でれば、その機能に対する客観的な価値基準はないので、顧客が新たに意味づける必要がある。そのため、新たに提案された機能は、少なくとも初期段階の客観的な価値基準が決まっていない段階では、意味的価値になる。これは任天堂のゲーム機「Wii」で見ることができる。それまでは誰もが、ゲーム機のコントローラを振り回すような使い方をするなど思ってもいなかったからだ。

(2)特別なこだわりを持った特定の顧客が大きな価値を見いだす

商品の機能的な高さや特別なスペックに対して、特定の顧客が特別な意味づけをした場合に生まれる価値は意味的価値になり得る。高級オーディオや高級車などは特に根強いファン、購買層が存在するが、まさにこれに当てはまるだろう。

「意味的価値」を生み出すものとは?

 ここまでの話を整理すると図2のようになる。

photo 図2 継続的な付加価値の創出、差別化・優位性を維持するためには、どうすればよいのか(クリックで拡大)

 図2を上から順に見ていこう。顧客への価値提供のために付加価値を創出し続けることは、企業そのものが業績を向上し続けることに他ならず、そうたやすいことではない。また、競合に対する優位性の維持も重要であるが、独自技術をすぐに模倣されてしまうと、機能、スペックに依存した優位性を長期間にわたって維持することは、現実的にはなかなか困難である。「いかに付加価値を付けるか?」という問いに対しては、機能的価値による差別化は過当競争を招きやすく、優位性を保つことが、これまた困難である。

 ここでやっと「意味的価値」にたどり着くわけだ。そして、この意味的価値と模倣されない技術を生み出すものが、「組織能力」である。さらには、競合との差別化を図るための「製品アーキテクチャ(設計思想)」なのだ。

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