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ARMから見た7nm CMOS時代のCPU設計(16)〜次世代メモリへの期待福田昭のデバイス通信(27)(2/2 ページ)

» 2015年06月02日 09時30分 公開
[福田昭EE Times Japan]
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フラッシュメモリは低電力モバイルCPUに向かない

 SRAMの待機時消費電力を低減する最も単純な方法は、電源電圧をオフにすることだ。もちろん、電源電圧をオフにする直前に、データを不揮発性メモリにコピーしておく必要がある。するといっそのこと、不揮発性メモリをキャッシュにしたくなる。

 しかし不揮発性メモリの代表であるフラッシュメモリは、モバイルCPUのオンチップメモリには適していない。その大きな理由は、書き込みエネルギーが大きいことと、CMOSロジックとプロセスの互換性がないことである。フラッシュメモリはまた、書き換え回数に制限がある。このことは、応用範囲を限定する。

 フラッシュメモリの書き込みエネルギーはロジックに比べると膨大で、1ビットのデータを書き込むためには100ピコジュール前後を必要とする。ところがCMOSロジックは、1万ゲートの消費エネルギーですら1サイクル当たりで5ピコジュール程度にすぎない。フラッシュメモリ1ビットの約20分の1以下である。

フラッシュメモリの課題と解決策(クリックで拡大) 出典:ARM フラッシュメモリの課題と解決策。出典:ARM

待たれる「スーパーメモリ」の登場

 そこで期待がかかるのが、新しいタイプの不揮発性メモリである。この「スーパーメモリ(次世代不揮発性メモリ)」は、粗く言えばDRAMとNANDフラッシュメモリの「いいとこ取り」だ。メモリセル面積はDRAMなみに小さく、スケーリングが可能で、書き込み速度と読み出し速度はDRAMよりも高速で、ロジックとプロセスの互換性があり、電源をオフにしてもデータが残り、書き換え回数は無制限に近いことが望ましい。

 このような「スーパーメモリ」が近い将来に実現するかどうかは分からないものの、候補は存在する。磁気メモリ(MRAM)技術や抵抗変化メモリ(RRAM)技術などである。これらのメモリ技術の進展に期待したい。

代表的なメモリ技術の仕様と「スーパーメモリ」(右端)に期待する仕様。出典:ARM 代表的なメモリ技術の仕様と「スーパーメモリ」(右端)に期待する仕様(クリックで拡大) 出典:ARM

次回に続く

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