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新生Broadcomに向け準備着々、一部事業売却の可能性も?ビジネスニュース 企業動向(2/3 ページ)

» 2015年06月04日 11時25分 公開
[Rick MerrittEE Times]

シナジー効果の鍵は通信分野か

 米国の市場調査会社であるIC Insightsでマーケットリサーチ担当バイスプレジデントを務めるBrian Matas氏は、「今や業界全体の年間成長率はわずか5〜7%で、かつての勢いでは伸びていない。企業にとって、売上高を増加させるためには、統合・合併するしか手段がないといえる。例えば最近では、NXP SemiconductorsがFreescale Semiconductorを買収している他、Cypress SemiconductorとSpansionをはじめ、数々の第2階層のプレーヤ企業も経営統合している*)」と述べている。

*)関連記事1:フリースケール買収のNXP、車載半導体で首位ルネサスに肉薄か――世界半導体シェアは7位へ
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 Matas氏は、「(半導体業界の)M&Aは今後も続くと思われるが、今回の買収は最も規模が大きいものの1つだといえるだろう。今後5年以内に、世界ランキングトップ50社のうち上位10社圏外の企業が、合併買収によって存在しなくなる可能性もある」と述べている。

 今回の買収において注目すべき製品分野の1つとして、AvagoのFBAR(圧電薄膜共振器:Film Bulk Acoustic Resonator)フィルタが挙げられる。Tan氏は、「Avagoは現在、スマートフォンの分野において、このようなディスクリート部品を、パワーアンプなどを搭載するRFフロントエンドモジュールに統合しようとしているところだ」と述べる。

 現在、LTEが普及していることもあり、このような統合が加速している。Tan氏は、「ハイエンドスマートフォンの分野では一般的に、世代が進むにつれて周波数帯域の数が直線的に増加し続ける傾向にある。それに伴い、当社の製品ラインアップも著しく増加している」と述べる。

 Avagoは現在、自社工場で6インチウエハーを利用しているが、2016年初めには8インチウエハーへと移行する予定だという。中国国内でLTEが普及していることから、ウエハーコストを約10%削減するとともに、販売能力を高めていきたい考えだ。一方のBroadcomは、既に携帯電話機向けベースバンド事業から撤退し、Wi-Fi/Bluetoothチップ事業に注力する方向へと転換していることから、Avagoのこのような取り組みによる成果を享受できるのかどうかは不明だ。

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