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「売り上げをグローバル全体の10%に」――インターシルの3つの戦略日本法人新社長が語る

2015年7月、インターシル日本法人社長の大久保喜司氏が都内で3つの事業戦略を語った。より成長していくために、販売領域の拡大、代理店との密な関係の構築、東南アジア・インドとのシナジー効果に力を入れていく。

» 2015年07月03日 09時30分 公開
[庄司智昭EE Times Japan]

 経営戦略の再定義から2年――。

 インターシルは、収益改善を狙い、モバイル電源機器やインフラ機器に向けたパワーマネジメントに事業領域を集中。2年をかけて、借入金ゼロの健全な財務基盤を築いてきた。収益が回復し、売上高の20%強を研究開発に投じられるようになったという同社。競争力のあるパワーマネジメント製品を生みだそうとしている中、日本でも新たなインターシルとしての販売体制を構築しようとしている。

 同社は2015年7月、都内で記者会見を開き、同年5月に日本法人社長に就任した大久保喜司氏が、自身の掲げる3つの国内事業戦略について説明した。

東南アジア、インドとのシナジーを

 1つ目の戦略として、大久保氏はフォーカストブロードを挙げた。フォーカストブロードとは、顧客をとにかく増やすという考え方ではなく、強みを生かせるアプリケーションに対して領域を広げることだ。パワーマネジメントに集中する新たな経営戦略にふさわしい新たな顧客層を集中的に取り込む狙いだ。大久保氏は集中するアプリケーションとして「具体的には、産業機器、サーバストレージ機器、メディカル機器などを考えている」と語る。

産業機器やモバイル電源機器などの分野に注力する 出典:インターシル

 また、それぞれの領域で強みを持った顧客にアプローチするために、営業体制をアカウントセールスから製品営業に変更した。パワーマネジメント製品は、「機能が追加されるといった単純なものでなく、電源システムにどのようなメリットがあるのかを分かりやすく説明するのが難しい」という。そこで、より製品にフォーカスした営業体制を敷くことで、マーケティング的な要素も含めて各営業担当が深く顧客と接することを狙う。

インターシル日本法人社長の大久保喜司氏 出典:インターシル

 2つ目の戦略は、新たな顧客層を狙う上で、専門知識を持った営業リソースを効率的に増やすため販売代理店との密な関係を築くことだ。共同プロモーションやセミナーをすることで、代理店との知識の共有を進めたいという。「知識の共有をすることで、当社社員と同様の信頼関係を顧客と構築できる代理店担当者を増やしたい」と大久保氏は語った。

 3つ目の戦略は東南アジア、インドのシナジー効果だ。大久保氏は日本法人社長に加えて、東南アジア、インドのカントリー・マネージャーも兼任している。日本の顧客が海外に進出する際のシームレスなサポートに限らず、「日本の細やかなサポート、インドのアグレッシブさ、東南アジアの異文化をまとめるノウハウをそれぞれに取り入れて、相乗効果を生んでいきたい」(大久保氏)という。

 大久保氏は「これまでもインターシルは日本で一定の売り上げを確保し良い地位を築いてきた。(パワーマネジメント領域への集中、国内営業体制の見直しなど)さらに成長できる体制が整ってきたので、全社売り上げの10%以上を日本で売り上げたい」と抱負を語った。

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