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ドローンには専用周波数帯が必要、専門家が議論現在は携帯ネットワークで対処しているが(2/3 ページ)

» 2015年07月27日 10時30分 公開
[Junko YoshidaEE Times]

5GHz帯が承認されている

 今後、ドローン業界専用の通信回線として、2つの周波数帯域が利用可能になるとみられている。

 かつてFAAで長官を務めた経歴を持つJim Williams氏は、「2012年に開催された世界無線通信会議(WRC:World Radiocommunication Conference)では、無人航空機の指令管制用として、5GHz帯前後の使用が承認されている」と説明する。WRCは、4年に1回開催されている会議だ。Williams氏によると、5GHz帯前後はもともと、マイクロ波着陸システム向けに確保されていた帯域だという。これは、航空機がどんな天候下でも正確に着陸できるようにするために開発されたシステムだ。しかし、「GPSが広く使われるようになったため、これまで利用されることがなかった」という。つまり、ここは使われていない帯域なのである。

photo Jim Williams氏

 さらに同氏は、「また、航空機で海上の船舶を監視するためとして確保されていた、1GHz帯前後の小規模なLバンドもある。現在では、ドローン通信専用の帯域として承認されている」と付け加えた。

 Williams氏は、Radio Showの中で、「米国内において現在、視野の範囲外や民間人の上空を飛行することが認められているドローンは、ほんのひと握りしか存在しない」と認めている。しかし、こうしたドローンは、必要条件の1つとして、オペレータとドローンとの間で信頼性の高い通信を実現することが求められているという。

 例えば、視野の範囲外での飛行を許可されているドローンは、無線LANや携帯電話機などで使われている、規制されていない公共周波数に依存することになる。「だがこのような周波数は信頼性に欠ける。大勢の人が使用すると、つながりにくくなる可能性がある」(Williams氏)。実際、通信が混雑した時に、ドローンが(意図しない方角へ)飛んでいってしまった事例もあるようだ。

photo ParrotのYannick Levy氏

 「ドローンの性能が上がり、より“賢く”なってはいるが、ドローン業界にとっては信頼性のある通信手段を確保することが鍵になる」(同氏)。5GHz帯でドローン専用の周波数を使うというのが、業界全体の動きのようだ。

 では、Wi-Fiや携帯ネットワークそのものの信頼性はどうなのか。Parrotの事業開発部門でバイスプレジデントを務めるYannick Levy氏は、「ドローンメーカーとして答えると、Wi-Fiも携帯ネットワークも、どちらも優れた通信ネットワークだ。冗長性も備えている」と述べる。ただ同氏は、フランスの民間航空局が、商用ドローンが携帯ネットワークを使用することを認めていないと話した。「同局は、ドローン専用のネットワークを用意したいと考えている」(同氏)。

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