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» 2015年10月01日 16時10分 公開

VWの排ガス不正:“設計の自由”を抑圧しないガイドラインが必要 (2/2)

[Richard Doherty(The Envisioneering Group Research Director),EE Times]
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“ディーゼルゲート問題”

 今回の“ディーゼルゲート*)”事件における責任の連鎖を全て確定するのに、どれほどの司法・行政の力が必要となるのか、現段階では定かではない。

*)米国ニクソン大統領が真相の隠蔽工作を行ったウォーターゲート事件をもじり、Volkswagenのディーゼル規制不正問題に絡んで最近用いられているツイッターのハッシュタグ「#dieselgate」

 おそらく、今回の不正には、1人あるいは複数のエンジニアが賛同したことから始まったのだろう。彼らが道徳的責任を怠ったせいで、人々の生活がこの先ずっと脅威にさらされるかもしれないのだ。そして、上層部もその“不正のアイデア”に賛同したのだろう。内部ではこの策略はどの程度知れ渡っていたのだろうか。世界はすぐにでも真実を知りたがっている。

 “ディーゼルゲート問題”は、電子機器やコンピューターデバイスはもちろんのこと、米連邦通信委員会(FCC)などの規制機関にも影響を与える可能性がある。

photo 画像はイメージです

 過去7〜8年間で、試験施設を経て約1100万台のVolkswagenの車が出荷されたが、その間、規制レベルの実に40倍ものディーゼル排ガスが大気を汚染し続けたことになる。この点からも、さらなる現場監視が必要なのは明らかである。

 Volkswagen車のオーナーはどうするのだろうか。Volkswagen車を運転していると、規制に違反して絶え間なく大気を汚染しているとみなされてしまうのか? ディーラーはVolkswagenの不正行為を知っていたのだろうかという疑問も浮かぶが、このような行為を秘密にしておくのは難しいだろう。

 筆者は、「規制機関を改革し、抜き取り検査を増やす」という考えに賛成だ。筆者が若いころは、FCCは職員よりもフィールドエンジニアの数の方が多かった。今では、フィールドエンジニアの割合は100人に1人以下である。そのような機関では、安全規制の違反を検知することはもちろん、規制の施行すらままならない状況だろう。民間の認証機関・試験機関は、今回の問題の成り行きによっては規模を拡張する必要があるかもしれない。

 筆者は、関与した幹部らへの処罰を待ち望んでしまうほど、このエンジニアリングスキルの悪用に個人的に憤慨している。罰金だけでは不十分だ。

“設計の自由”を抑圧しないガイドラインを

 医療機関もこの問題に関与すべきだろう。1100万台ものVolkswagen車が基準値の40倍もの有害なNOxをまき散らしてきたということは、多くの一般市民に重大な健康被害を与えている可能性を否定できない。

 また、IEEEをはじめとする専門家団体は、規制が“設計の自由”を抑圧しないようにガイドラインを提起する上でどのような役割を担うのだろうか。

 疑問ばかりが浮かぶものの、今回の不正に関しては、いかにスピーディに解決するかが最も重要な要素となるだろう。

【翻訳:青山麻由子、滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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