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» 2015年11月10日 11時30分 公開

光を当てて識別:偽造ICを判別できる“魔法の粉”、その正体は? (3/3)

[村尾麻悠子,EE Times Japan]
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日本では、手応えまだ弱く

 TruTag Technologiesは、現在は主に欧米の市場をターゲットとしているが、日本を含め、世界中を視野に入れている。TruTagの技術を日本に広めるための活動を行っているのが、企業経営コンサルティングを手掛けるAZCA(アズカ)だ。シリコンバレー(メンローパーク)に本拠地を構える同社は、グローバル市場での新規事業開発および事業展開を支援している。米国の他、日本や香港、韓国、中国にもオフィスを設置している。

AZCAの社長を務める石井正純氏(左)と、津山学氏

 AZCAは、2015年9月からTruTag Technologiesの支援を行うプロジェクトを開始している。同プロジェクトを担当するAZCAの津山学氏は現在、製薬会社や自動車メーカー、半導体メーカー、家電メーカー、さまざまな分野の工業会にコンタクトを取り、偽造品について情報を集めているという。ただ、現時点では思うような手応えは得られていないようだ。

 津山氏は、「日本の大手メーカーだと、サプライチェーンが非常に強固なため、そもそも偽造品が入り込む隙がない」と話す。日本でも、電子部品の不具合による事故はある。だがそれは、誤って偽造品を使ってしまったからではなく、設計の不具合などによるものが多い。「自動車のティア1サプライヤーに話を聞いたところ、(正規販売者ではない)アフターマーケットでは、オイルフィルターやスパークプラグなどで、特に中国製の偽造品が出回っているそうだ。これらはいずれも数百円で売られているもので、ティア1サプライヤーとしては、こうしたアフターマーケットにも対策を施そうとしても、費用対効果が低過ぎる」(同氏)。

 津山氏は、「バッテリーにしても、メーカーとしては、“模倣品に注意してください”と明示することで十分だと考えているようだ」と続ける。

 日本の半導体業界に目を向けると、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International )が、2002年末から個々のICのマーキング方法の標準化を開始している。その結果、ダイおよびパッケージに適用できる2次元バーコードの標準化が完了し、2008年に既に仕様書が発行されている。津山氏によれば、SEMIは現時点では、2次元バーコード以上の対策を施す予定はないようだという。

 津山氏は、製薬会社についてはこれから情報を収集するとしているが、同氏の話を聞いている限りでは、日本では偽造品対策に対する切迫したニーズは、まだそれほど強くはない印象を受ける。ただし、TruTagを、予想もしないような用途や分野で活用できる可能性は大いにある。「どうも出どころが怪しい」――。そう感じたら、スマートフォンで光を当てれば即座に“ホンモノ”かどうかが分かる。Wuh氏が語ったような未来が実現するかもしれないのだ。

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