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「世界初」の漏電電流/絶縁劣化監視モジュール電気が通っている機器全てが対象市場に

佐鳥電機は、2015年11月18に開幕した「組込み総合技術展 Embedded Technology 2015(ET2015)」で、漏電電流測定/絶縁劣化監視モジュールを展示した。

» 2015年11月18日 14時50分 公開
[庄司智昭EE Times Japan]

 佐鳥電機は、2015年11月18〜20日にパシフィコ横浜で開催されている「組込み総合技術展 Embedded Technology 2015(ET2015)」で、漏電電流測定/絶縁劣化監視モジュールを展示した。

 従来の漏電電流測定は専用の機器を用いて行われていたが、同製品は家電製品や産業機器に直接組み込むことができるので、コストを大幅に削減して絶縁劣化の予兆監視を行えるという。同社は、「漏電電流測定をモジュール化したのは、世界初だろう」と語る。

 同製品は「組込み総合技術展 Embedded Technology 2014(ET2014)」で発表されたが、その時、試作したモジュールのサイズは6cm×12cmだった。今回は部品の小型化と実装方法の工夫により、6cm×6cmの小型化を実現。2016年夏に発売予定とし、電力会社や自動車メーカーを中心に採用を見込んでいる。発売価格は未定である。

ET2015で展示された漏電電流測定/絶縁劣化監視モジュールのデモ (クリックで拡大)

Io値とIor値を分離して測定

 同製品は、Io(零相電流)値とIor(抵抗分漏電電流)値を分離して測定することで、漏電電流を測定する。従来の漏電測定は、Io値のみでの管理が行われていた。しかし、インバータや電子機器の増加によるノイズ対策で容量成分が増加し、不安定な値で表示されることが多くなったため、正確な判断ができない状況にあった。

 同製品は、漏電検出技術を手掛けるSo Brainの技術で、特許を取得している「TrueR」方式を採用。同方式では、Io値とIor値を分けた測定機能を容易に組み込むことができる。TrueR方式はIo値とIor値を分けて測定できるだけでなく、ノイズや高周波の影響を受けずに高精度、高速な測定を可能にするメリットがあるという。タナシン電機が、TrueR方式のモジュールとして基盤に落とし込んだ*)。これにより、設備機器に組み込むだけで、機器の漏電、絶縁劣化診断/監視することを可能にした。

*)佐鳥電機は、漏電電流測定/絶縁劣化監視モジュールの販売を行っている。

漏電電流測定/絶縁劣化監視モジュールの仕組み (クリックで拡大) 出典:佐鳥電機

 今後の展開について、佐鳥電機は「より小型化を行うことで、ブレーカーの中に組み込むことを考えている。ブレーカーだけでも大きな市場であり、電気が通っている機器全てがターゲット市場になっていくだろう。また、海外の規格にも対応させて、将来的には、日本企業のように電源管理を行えない国にも同モジュールを展開していきたい」とした。小型化するためには、機能を絞ることや部品の小型化が求められるという。

 同モジュールの対象電路は、単相2線・3線、三相3線・4線(接地)。測定範囲は、0.001mA〜999mA、600V以下である。約0.5秒ごとに測定結果を出力し、測定精度目標は10MΩの絶縁劣化監視測定としている。

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