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標準化は垂直統合型モノづくりの弱体化を招く?勝ち抜くための組織づくりと製品アーキテクチャ(10)(2/4 ページ)

» 2015年11月19日 09時30分 公開
[世古雅人EE Times Japan]

垂直統合型モノづくりの崩壊

 東京大学ものづくり経営研究センターの小川紘一氏は、標準化を「技術モジュールの相互インタフェースを規格化して単純組み立て型(モジュラー型)へ転換させる作業であり、完成品の製品アーキテクチャをモジュラー化するプロセスである」と定義している。これがオープン環境の標準化であれば、産業構造が、必ず垂直統合型から水平分業型へと転換することになるという。

 図1は、電機産業(主にデジタル家電)におけるモノづくりの違いを、従来の日本と海外で比較したものである。

図1 モノづくりの違い(電機産業) 図1 モノづくりの違い(電機産業) (クリックで拡大)

 図中、赤と青の文字の部分だけご覧頂けば十分であるが、研究開発部門から、ばく大な設備投資や維持費用を伴う工場までの全てを備える垂直統合型の日本の電機メーカーが、この数年で工場売却や閉鎖、それに伴う人員削減などを余儀なくされた。

 その要因の1つには、2008年のリーマンショックがあったかもしれない。2011年の東日本大震災かもしれない。しかし、デジタル家電の分野においては、リーマンショックが起こる前から徐々に、モノづくりそのもののやり方が変わってきたことを認識すべきだ。アナログからデジタルへ、製品アーキテクチャはインテグラルからモジュラーへ……さらにオープンへと移行していったのだ。

 これらにより、グローバルでは水平分業が一気に進むこととなり、垂直統合型の日本企業の競争優位性が足元から崩れ去ったのである。

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