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「半導体業界の“Apple”を目指す」ルネサス米国発の設計基盤「Synergy」で(2/3 ページ)

» 2015年11月20日 13時20分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

拡張性を備えた4つのマイコン

 Synergyでは、SSPに加えてもう1つ、大きな特徴がある。Renesas Synergy Microcontrollersだ。ARMの「Cortex-M0+」をベースにした「S1」と、「Cortex-M4」コアを搭載した「S3」「S5」「S7」の4種類で構成される。

Synergy向けのマイコンファミリ Synergy向けのマイコンファミリ。S7とS5は40nm、S1とS3は130nmプロセスを採用している(クリックで拡大)
各ファミリの端子数(X軸)とフラッシュメモリ容量(Y軸) 各ファミリの端子数(X軸)とフラッシュメモリ容量(Y軸) (クリックで拡大)

 Synergyが発表されたのは2015年6月だが、その際には各マイコンファミリの周辺機能については詳細が明かされなかった。以下の図版は、周辺機器をまとめたものになる。いずれも前述したセミナーで発表されたものだ。

S1S3
S5S7

 Synergyを使った場合、従来の組み込み機器開発の流れはどう変わるのか。セミナーでは、サーモスタットを開発する場合の事例で説明された。

従来の手法 従来の開発手法従来の手法では、「機能に合わせてプロセッサを選ぶ→プロセッサ周辺のモジュールを設計する→ソフトウェアモジュールを選び、それらを統合してテストする→アプリケーションソフトウェアを設計する→試作品をテストする」というフローになる(クリックで拡大)
Synergyの手法 Synergyを使えば、「どのようなサーモスタットを開発したいのかを決めたあと、Synergyの製品例からサーモスタットを選択する→既にSynergyに準備されているソフトウェアスタックを選ぶ→アプリケーションソフトウェアを設計する」というフローに変わる(クリックで拡大)

 DevCon 2015でβ版の提供が開始されたSynergyは、米国を皮切りに、順次世界に展開されていく予定だ。ルネサスの米国法人Renesas Electronics America(以下、REA)でInternet of Things(IoT) ビジネスユニットのバイスプレジデントを務めるPeter Carbone氏によると、2015年11月には欧州、12月に日本、その後、台湾、韓国、中国での提供開始を予定している。

 SynergyのSSPは、定期的にアップデートされる予定だ。6カ月ごとにマイナーバージョンアップを、約2年ごとにメジャーバージョンアップを行う予定となっている。

SSPのバージョンアップのイメージ SSPのバージョンアップのイメージ(クリックで拡大)

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