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» 2015年12月14日 11時30分 公開

旧Freescale本社に潜入:新生NXP、誕生の瞬間に密着 (2/3)

[Junko Yoshida,EE Times]

元Freescale従業員の“6つの心構え”

NXPのKurt Sievers氏 NXPのKurt Sievers氏

 合併準備のためのチームメンバーとして選ばれたFreescaleのMatt Johnson氏は、「NXPとのミーティングは弁護士の同席の下で行われた。ミーティングではSECの規則を確認し、どんな情報を共有できるのか否かを明確にした。SECの規則があったので、われわれが共有できる情報は限られていた」と話す。それでも、「NXPの車載部門でエグゼクティブバイスプレジデントを務めるKurt Sievers氏と初めて話した時は、今回の合併がうまくいくと自信を持てた」(Johnson氏)。

 Johnson氏は最初、「私は今回初めて合併を経験した。M&Aの専門家でもないし、1年ほど経過してみないときちんと話すことはできない思う」と、EE Timesのインタビューに応えることに消極的だった。

 同氏は、「M&Aの成功率は、どんな業界の場合でも、新興企業を軌道に乗せるのと同じくらい低い。NXPとの合併を成功させるための課題もまだ山積している」と語った。

FreescaleのMatt Johnson氏 FreescaleのMatt Johnson氏

 だが、「今後似たような合併を経験するであろうエンジニアに向けて、今回の経験を基にコメントしてほしい」と頼むと、幾つかアドバイスをくれた。

 同氏は、「まず、今起こっていることが“合併”なのか“買収”なのかを理解することが大切だ。両者をひとくくりにして“M&A”ということも多いが、合併と買収は全くの別物だ。両者の違いを理解することは重要だ。その違いが、従業員の気持ちを大きく左右することになるからだ。合併では2つの企業は対等な立場にあるが、買収は買収する側の企業がもう一方を吸収する形になる」と話した。

 次に重要なのは、「イベントのように一過性の出来事ではないことを理解すること」だという。「NXPとの合併では、合併後の新体制については多くの話し合いが持たれたが、それには9カ月もの長い時間と途方もない労力がかかった」と同氏は語った。

 3つ目は、「合併は、単に2つの企業を統合することではない」ということだ。同氏は、「新組織や両社の製品のシナジー効果、市場ポジショニングについて議論することも大切だが、従業員のことも忘れてはならない。合併/買収は、数千人もの従業員一人一人の生活に多大な変化をもたらす問題だ。全ての従業員がそれぞれ、合併やそれに伴うさまざまな変化に対応しなければならない」と述べた。

 Johnson氏は、「合併には通常、3つのステージがある」と言う。第1段階は“興奮”のステージだ。合併のニュースを耳にすると、誰もが色めき立つ。

 次のステージでは、“厳しい現実”に直面する。「コスト削減が話題に上り始めると、グループやプロジェクト間で合併による勝者と敗者が明らかになってくる」(Johnson氏)。

 第3ステージに入ると、エンジニアは“ピース”をつなぎ合わせる作業に夢中になる。両社の製品や技術が明らかになると、エンジニアはたくさんのブロックのピースをもらった子供のように、新しく手に入れたピースで喜々として開発に取り組むようになる。

 これは良い効果ともいえるが、こうした状況では落ち着いて作業することが難しくなる。同氏は4つ目のアドバイスとして、「何が重要かを見極めること」を挙げ、「周りの状況に心をかき乱されないようにすべきだ」と述べた。

 5つ目としてJohnson氏は、どれほど混乱した状況にあっても、「なぜ、そこで働いているのかを忘れないこと」と述べる。どの業界にも浮き沈みはある。M&Aとなると、多くのエンジニアは今後自分がどうすべきなのか、考えざるを得なくなる。今取り組んでいるプロジェクトを最後までやり通すべきか、それとも、“乗っている船”から飛び降りて新しい機会を探すべきなのか、と迷うこともあるだろう。「エンジニアは、自分の目的を忘れないために“コンパス”を持ち続けなくてはならない」(Johnson氏)。

 6つ目として、M&Aが発表されると、し烈なヘッドハンティングや引き抜きを目にすることになると語った。「状況を俯瞰(ふかん)することが重要だ」(同氏)。Johnson氏は、チームメイトの何人かが既に去っていることを認めた。

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