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“バーチャル江端”3人衆、ダイエットに散る世界を「数字」で回してみよう ダイエット(27)(4/7 ページ)

» 2016年02月24日 11時30分 公開
[江端智一EE Times Japan]

ダイエットに踊り、踊らされる人生があってもいい

 では、最後に、このダイエット連載を通じて、私が感じてきた所感で締めたいと思います。

 私たちは"ダイエットに失敗する"ようにできている ―― だからからこそ、私たちは「ダイエット」に挑戦し続けるのかもしれません。

 私たちが、ダイエットの目的が全く分からないのにもかかわらず*1)、年間2兆円ものお金(日本での市場規模)を費やし、ダイエットに突進していくのは、健康や美容に対する投資*2)もさることながら、それを達成することが極めて困難であることを知っているから ―― 手に入りにくいものであることを知っているから ―― かもしれません。

*1)関連記事:部分痩せは可能なのか?
*2)関連記事:「ダイエットで美しくなれる」は、本当か?

 だからこそ、ダイエットを達成することで、他者からの尊敬を勝ち得、何より自分自身に大きな満足を与えることができることを、私たちは暗黙的に理解しているから ―― かもしれません。

 「このようなダイエットは愚行である」と、切り捨てることは簡単です。

 しかし、「人間の行為で、愚行でないものとは何か?」 ―― と問われれば、これに答えることはとても難しいと思います。

 『趣味、学歴、出世、恋愛、結婚、健康、長寿 ―― これらの価値と、ダイエットの価値との間で決定的に異なる点を、論理的に説明してみよ』と言われたら、少なくとも、私は答えることができません。

 だから私は、どのような対象であれ、熱中できるものがある人間は、そうでない人間より幸せであり、「ダイエット」に踊り、踊らされ、踊り狂う――。そういう人生は、決して悪くないと、心の底から信じているのです。


 次回、ダイエットシリーズ最終回になります。

 最終回では、私(江端)のダイエットのネガティブ体験談のテンコ盛りを予定しています。13kgのぜい肉と引き換えに、失ってきたさまざまなモノについて赤裸々にお話したいと思います。

 コンセプトは「ちまたに、はびこるバラ色のダイエット論に、汚水をぶっかける」です。

 では、ダイエットシリーズの最終回、どうぞお楽しみに。

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