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高速ビジョンの用途開拓へ、推進組織を設立日本の強みを生かし、システム設計力で勝負する(1/3 ページ)

高速ビジョンによる応用市場の拡大や新産業創出を目指す「WINDSネットワーク(Network for World Initiative of Novel Devices and Systems)」が設立された。

» 2016年02月25日 11時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

 高速CMOSイメージセンサーを用いた高速画像処理の用途拡大を目指す「WINDSネットワーク(Network for World Initiative of Novel Devices and Systems)」が2016年2月24日付で設立された。東京大学や日産自動車、ソニー、エクスビジョンの他、2016年度中に約300社/団体の参加が見込まれている。

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、「クリーンデバイス社会実装推進事業」(2014〜2016年度)に取り組んでいる。クリーンデバイスとは、実用化間近でこれを活用することで省エネルギー効果が期待できる電子デバイスと定義されている。この中の1つが、東京大学、ソニー、日産自動車及びエクスビジョンが手掛けるプロジェクトである。

 このプロジェクトは、高感度で高速、低ノイズのCMOSイメージセンサーを用いた高速画像処理技術の実用化を目指したもので、2014年7月から2016年6月まで実証実験を行う予定である。例えば、日産自動車は交通・ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)への応用、東京大学は高速・高精度に制御可能なロボットへの応用、エクスビジョンは医療分野におけるジェスチャー応用、そしてソニーは積層型デバイスのシステム化に取り組んでいる。

CMOSイメージセンサーを用いた高速画像処理技術の実用化に向けた実証実験の例 (クリックで拡大) 出典:NEDO

 画像処理のベースとなるCMOSイメージセンサーは、撮影した画像の取り込み時間が格段に速い。従来の一般的なCMOSイメージセンサーは、フレームレートが30フレーム/秒(1秒間に30コマ)だが、同プロジェクトで用いるCMOSイメージセンサーのフレームレートは1000フレーム/秒で、30倍以上も速く画像を取り込むことができる。

 一般的なCMOSイメージセンサーは、解像度や感度についての性能改善が進み、スマートフォンやデジカメなどの用途で需要が拡大している。これに対して同プロジェクトは高速画像処理に適したCMOSイメージセンサーを開発し、新たな市場や応用分野の開拓を行うことを狙いとする。

 NEDO電子・材料・ナノテクノロジー部の部長を務める山崎知巳氏は、「時速100km相当で走行中の車両を撮影すると、1コマ撮影する間に車両が移動する距離は、従来のイメージセンサー製品だと約1mとなる。今回のイメージセンサーであれば移動距離が約30mmごとに撮影することができる。この技術を自動車に応用すると、走行中の障害検知や衝突回避の操作を、運転者に代わって自動で行うことが可能となる」と話す。

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