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Maxim、スマホリスク排除し車/産機軸に転換へ「創業以来の大変革」(2/3 ページ)

» 2016年03月11日 09時30分 公開
[竹本達哉EE Times Japan]

注力製品も精査

 徹底した集中と選択の代表例が、13あった事業部を、半分以下の6事業部まで減らしたことだ。これまで、用途市場に特化した事業部や、特定製品を専門に扱う事業部などが存在したが、今回の変革を機に、用途を問わない2つの汎用製品事業部と、注力する用途市場特化型事業部4つに統合した。4つの注力用途は「自動車」「産業機器/ヘルスケア」「通信&データセンター」「モビリティ」だ。モビリティはスマホ向けを含むわけだが「成長が鈍っているが、大きな売り上げ規模を誇るビジネスであり、継続する」という。しかし、単純に継続するわけでもない。

 事業部門統合と同時に、「各事業に欠かせない製品であること」「将来を含め利益が見込めること」という2つの条件を満たさない製品ビジネスに関しては、売却、ないし、撤退といった決断を下したという。

 売却/撤退事業に関しては、詳細を明かしていないものの、主にスマホ向けに展開していたタッチパネルコントローラーICビジネスなどへの新規投資を凍結。タッチパネルコントローラーについては、その機能が近い将来アプリケーションプロセッサに吸収される可能性もあり、IC単独でのビジネスは成り立たないとみて、大手プロセッサベンダーに譲渡したとみられている。このように、細かく製品ごとに将来性を見極め、成長性のある事業のみを厳選し、今後、集中的に投資を行う体制を敷いた。

生産体制も見直し

 選択と集中は、生産面にも及んだ。大規模量産に対応する米テキサス州サンアントニオの自社主力製造拠点をTowerJazzに売却した。Murphy氏は「TowerJazzは戦略的パートナーの1社であり、今後もサンアントニオの工場を活用した製品供給を継続する。自社でサンアントニオのキャパシティーを埋めるオペレーションを続けることが難しくなったため、TowerJazzに工場を託した」とし、量産規模の大きい工場運営から撤退し、他の事業に専念する道を選んだ。ただ「ファブレスになるわけではなく、古くからのプロセス設備を有し、多様な生産を行うオレゴン州の自社工場の運営は継続する」と語り、パートナーへの委託が難しい製品については、自社工場で供給責任を果たしていく姿勢は維持する。

Maximの自動車向け売上高推移 (クリックで拡大) 出典:Maxim Integrated

 今後の成長は、ここ2年ほどで全社売り上げ構成比10%程度から17%にまで急速に高まっている自動車向けを筆頭に、民生機器をしのぐ売り上げ規模に育ったインダストリアル(産業機器)向け、成長が見込まれるデータセンターやウェアラブル機器を含むヘルスケア向けに託すことになる。

 ただ、こうした成長市場でも、やみくもに取り組むのではなく、“レーザーポイントフォーカス”を貫く。得意とする製品分野に限定し、集中的に投資、拡販を行う戦略だ。

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