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» 2016年03月22日 11時30分 公開

勝ち抜くための組織づくりと製品アーキテクチャ(14):鳥取の事例にみる、地方製造業“再生”の可能性 (4/5)

[世古雅人,EE Times Japan]

就業支援と即戦力人材

画像はイメージです 画像はイメージです

 では、別の切り口の就業支援として、現在、未就業者……すなわち失業者に対して教育訓練を行い、中途採用の道を作るという施策もある。しかし、中小企業の実態として、正社員1人を雇用するのは大変なことであり、継続的に雇用を維持できるかは未知数で、また、勇気のいることである。

 中小企業が欲しい人材は“即戦力”であることは、首都圏も地方、中小企業も大企業も変わらない。

 これには賛否両論あると思いつつ、あえて書くが、“にわか仕込み”で教育した地元求職者と、首都圏でつい最近まで仕事(同じ業界の)をしていた転職活動中の求職者のどっちを採るかだ。もちろん、後者は鳥取県で仕事をする、すなわち、定住をすることが前提条件だ。皆さんが採用担当者ならどうするだろうか?

 鳥取県内の有効求人倍率は、ここ数カ月で全国平均を上回っている。素直に見るならば、鳥取県内の雇用情勢は改善されてきたと判断するだろう。

 しかし、実際にこの2年半、県内の企業を見てきた筆者は、今もって、なかなか優秀な人材を採用できない、応募すらないという声を聞くことが少なくない。であるならば、地方創生しかり、住みたい田舎第1位を好機と捉え、県外の求職者を鳥取県内にもってきた方が、雇用も人口も増えるので、一挙両得だと筆者は考える。首都圏には、まだまだ優秀な人材が求職中であることも多い。賃金格差や生活環境の違いはあれど、それを上回る魅力を備えた、働きたいと思える産業があるのかどうか。県内に働き手を呼び込むためには、それが前提であることは言うまでもない。

“ばらまき”ではない、鳥取県の取り組み(ハンズオンによる個別支援)

 結論から言おう。「鳥取県戦略産業雇用創造プロジェクト(CMX)」は、“ばらまき”施策ではない。

 戦略産業雇用創造プロジェクトにおいて、鳥取県以外の自治体の多くは、雇用創出を掲げており、その具体的な施策は、「雇用したら企業に補助金を与える」ものだが、鳥取県のケースはそこから脱却を図ったものだ。

 これは、プロジェクトの目的として、雇用創出に加えて、事業創出とそれに関わる人材育成を掲げていることと、筆者らのような経営コンサルタントをはじめ、各分野の名だたるメンバー(大学、企業など)が、各企業を個別に訪問し問題解決に当たるという「ハンズオン」を最大の特長としているからだ。

 分かりやすく言えば、1社1社向けにカスタマイズした個別コンサルティングのようなものである。非常に手間も掛かるが、従来になかった取り組みだ。従来や現在も、他の都道府県で行われている取り組みの多くは、「集合講座を実施、後は自分で学んだことを活かす」という“放置プレイ”だからだ。講座で学んだことを自社で展開できれば言うことはないが、自社に戻った途端に、目の前の仕事を優先する羽目になる。講座で学んだことと自社のケースは状況が異なり、うまく咀嚼(そしゃく)できないまま、取り組み自体がいつの間にか立ち消えになるなど、課題は多かったはずだ。

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