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SiC高品質薄板化エピウエハーの製品化に成功エピ欠陥を1/20にする表面処理技術で実現(1/2 ページ)

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2016年4月14日、東洋炭素がNEDOプロジェクトで開発した技術を応用してSiC高品質薄板化エピウエハーを製品化し、サンプル出荷を開始したと発表した。

» 2016年04月15日 09時30分 公開
[竹本達哉EE Times Japan]

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2016年4月14日、NEDOプロジェクトにおいて東洋炭素と関西学院大学が開発した「Si(シリコン)蒸気圧エッチング技術」を用いて、高品質の薄板化SiC(シリコンカーバイド)エピウエハーの量産技術を確立したと発表した。同時に、東洋炭素が特定顧客向けに同SiCエピウエハー製品のサンプル供給を開始した。

 SiCは、Siよりも電気的特性に優れた半導体としてパワーデバイス用途での応用が進められている。しかし、SiCは、研磨が非常に難しく、機械化学研磨などを行っても、表面加工歪層が形成され、結晶のエピタキシャル成長時に新たな欠陥(エピ欠陥)が生じ、高品質なSiCエピウエハーを安定供給することが難しかった。

従来工程フロー(図上)と新規「SiCウエハーの平たん表面処理技術」工程フロー(図下) 出典:NEDO

エッチングで平たん化する技術

Si付与TaC/Taルツボ模式図 (クリックで拡大) 出典:NEDO

 東洋炭素と関学大は、NEDOプロジェクトとして、熱化学反応を用いたエッチングによりSiCウエハー表面を平たん化する「Si蒸気圧エッチング技術」を開発。Si蒸気圧エッチング技術は、TaC(タンタルカーバイド)/Taルツボの内壁にSiソースを付与し、そのルツボの中にSiCウエハーを配置し、高温真空炉にて加熱を行うことで機能を発揮させるもの。ルツボ内部では、Si蒸気とSiCウエハー間で熱化学反応(SiC(s)+Si(g)→Si2C(g)↑)が起こり、SiCウエハー表面がエッチングされて平たん化される仕組みだ。

潜傷出現確認のため1900℃熱処理を行った後の各ウエハー表面の顕微鏡写真 出典:NEDO

 従来の機械化学研磨を行ったSiCエピウエハーでは生じた加工歪/潜傷が、Si蒸気圧エッチング技術による平たん化を実施したSiCエピウエハーでは「内在していないことが確認された。エピ欠陥は、機械化学研磨を行ったSiCエピウエハーの20分の1に低減された」(NEDO)とする。

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