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無線充電の今、大電力の本命は?TECHNO-FRONTIER 2016(3/4 ページ)

» 2016年04月27日 13時00分 公開
[畑陽一郎EE Times Japan]

磁界共鳴との関係は

 非接触の電力伝送では電磁誘導方式以外に、磁界共鳴方式が有力だ。それぞれの方式のどちらが「本命」なのだろうか。

 「非接触電力伝送のターニングポイントはなんと言っても米MITが2007年に見せた磁界共鳴のデモだろう。それまでの数センチの伝送が、MITのデモでは2mだったからだ。この後、さまざまなアプリケーションの可能性が開き、企業の研究が進んだ」(布谷氏)。

 布谷氏が最初に抱いた疑問は、電磁誘導と磁界共鳴は何が異なるのかというものだった。「エレクトロニクス専門誌が報じたように、両方式の等価回路は同じだ(図6)。電磁誘導方式は1次コイルと2次コイルの間の電磁誘導作用で電力を送る。だが、実際には当社も他社もコイルの他にコンデンサを用いており、コイルのLとコンデンサのCで共振させている。これは磁界共鳴と同じだ」(布谷氏)。

図6 磁界共鳴方式と電磁誘導方式の等価回路 EE Times Japan誌、2009年10月号pp.20-33「ワイヤレス送電第二幕『共鳴型』が本命か」より

 電磁誘導方式と磁界共鳴方式の能力の違いは、電力伝送距離にあると考えられがちだが、それだけではない。図7に挙げたように、電磁誘導方式は伝送距離が短いものの、大電力を送ることができる。磁界共鳴方式は距離が長いものの、送ることができる電力が幾分小さい。

 「両方式とも距離、電力をいずれも伸ばす方向に動いている。図7中にある赤い丸印は当社の技術だ。下側の赤い丸印は既に製品化済みであり、上側の赤い丸印は技術開発を完了し、顧客の要望に応じて製品化が可能だ」(布谷氏)。

図7 複数の伝送方式が狙う領域 出典:ダイフク。

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