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Intel、モバイル向けSoC事業を廃止Atomシリーズを終了(2/3 ページ)

» 2016年05月06日 11時30分 公開
[Junko YoshidaEE Times]

5Gに望みをかけるIntel

 アナリストたちはいずれも、「Intelの今回の動きは、モデム技術と5Gの分野に再度注力していくという点が理にかなっている」とする見方で一致している。

 実際にIntelは、新しい5G市場における自らの役割に大きな望みをかけているようだ。

 Krzanich氏は自身のブログの中で、「今後、常時接続の世界へと移行していく中で、5Gは、クラウドにアクセスする上での重要な技術となるだろう。コネクティビティは、Intelがけん引していきたいと考えている“Cloud-to-Thing”に関連する全ての分野において不可欠なものとなる。当社は今後、モデムから基地局、さらには今後登場すると考えられるありとあらゆる種類のコネクティビティに至るまで、エンド・ツー・エンドの5Gシステムを提供することにより、5G市場をリードする存在となるだろう」と述べている。

 Strauss氏は、「Intelは、既存の4Gモデムを5Gに引き継ぐつもりなのだろう。5Gは結局のところ、4G基盤がベースになる。これには10億〜20億米ドルの追加投資が必要になるが、Intelであれば可能だろう」と述べている。

Intelモバイル戦略の歴史

 Intelを長く追ってきた人は皆、同社の執念に気付いている。

 Strauss氏はEE Timesに対し、「私の良き友人の1人は、Intelがある特定市場で成功するかどうかを問われ、『Intelのエゴと資金、そのどちらがより大きいかによるだろう』と答えたことがある。彼の意見では、モバイル機器向けチップに関して言えば、“Intelのエゴ”が勝ったのだ」と話した。

 以下は、Strauss氏が語ってくれた、Intelのモバイル戦略の歴史である。

 Intelは1999年に初めて通信市場に参入した。この年、当時のCEOであるCraig Barrett氏は、2つの重要な買収を成し遂げている。DSL(Digital Subscriber Line)チップの主要サプライヤーであったLevel One Communications(買収額23億米ドル)と、携帯電話向けモデムチップの主要サプライヤーであったイスラエルのDSP Communications(同17億米ドル)である。

 IntelはCDMAモデム事業の投資に失敗した後、競合技術であったTDMAの開発に着手した。開発のベースとなったのは、Analog Devicesと共同開発した新しいDSP技術(開発コードネーム:Frio)と、Digital Equipmentから買収したARMベースで低消費電力型の「XScale」プロセッサだった。

 新しい携帯電話関連製品の開発に数十億米ドルを投じたにもかかわらず、Intelはモバイル市場での行き場を失った。2003年12月、同社は携帯電話向けチップ事業の資産をMarvell Technologyに売却することを発表した。Marvellは6億米ドルを支払っている。

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