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特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜

AllJoynでBluetoothが使える! ルネサスがデモワイヤレスジャパン/WTP 2016(1/2 ページ)

ルネサス エレクトロニクスは、「ワイヤレスジャパン 2016」(2016年5月25〜27日、東京ビッグサイト)で、AllJoyn対応機器をBluetooth Low Energy(BLE)で相互接続するデモを披露した。AllJoynでBLEを使用するのは「業界初」(同社)だという。

» 2016年05月27日 12時30分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

 AllJoynは、IoT(モノのインターネット)関連のコンソーシアム「AllSeen Alliance」が提供する、IoT機器向けのオープンソースのソフトウェアフレームワークである。もともとはQualcommが開発したもので、機器同士を直接接続して、通信を行える。Microsoftの「Windows 10」では全てのバージョンでAllJoynに対応していることもあり、今後、普及が加速するとされている。

 AllJoynはIPv6の上位で動作するプロトコルで、ネットワーク層の規定はないので、Wi-FiやBluetoothといった既存の無線ネットワークを利用して機器を接続する。ただ、これまでは、Wi-Fiのみが用いられてきた。これは、QualcommがWi-FiをベースにAllJoynを開発したからだという。だが、Wi-Fiは一般的に消費電力が大きいことから、電池で動作する機器/センサーなどを接続するには不向きである。そのため、Bluetooth Low Energy(BLE)を使うことに対するニーズがあった。

 今回、ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)はそういったニーズに応え、BLEを使うAllJoyn対応機器と、Wi-Fiを使うAllJoyn対応機器を相互に接続するデモを披露した。ルネサスによれば、「AllJoynにBLEを使ったのは業界初だと、AllSeen Allianceからお墨付きをもらっている」という。

 デモでは、AllJoynのルーター、AllJoynに対応したWi-Fiスピーカー、Windows 10搭載PC、ルネサスのBLEマイコン「RL78/G1D」を搭載したデモボード(以下、BLEボード)2台などを用意した。このRL78/G1Dには、AllJoynのプロトコルスタック(「Thin Core」)を動かすために必要なプログラムが全て実装されている。

デモの構成。Wi-Fi機器とBLE機器をAllJoynルーターを介して相互に接続させる仕組み(クリックで拡大)

 Wi-FiスピーカーやPC、BLEボードは全てAllJoynルーターを介して相互に接続できることになる。ルネサスは、BLEボード上のスイッチでWi-Fiスピーカーの音量をミュートにしたり、PCからBLEボード上のLEDをオン/オフしたりするデモを披露した。1台目のBLEボード上にあるスイッチで、2台目のBLEボード上のLEDを制御することも可能だ。ただこの場合の通信も、いったんはAllJoynルーターを介することになる。

左=デモに使用した機器。AllJoynルーターは、sMedioの製品。ルネサスもsMedioも、AllSeen Allianceのメンバーである/右=「RL78/G1D」を搭載したボード(クリックで拡大)

 今回ルネサスが、AllJoynにBLEを使えることを示したことで、AllJoyn対応機器を開発するメーカーにとっては、使える無線通信の選択肢が増えたことになる。

 ルネサスは今後、BLE/AllJoynのプロトコルスタックをセットで提供することを考えている。さらに、AllJoynルーターを開発するメーカーと提携することで、デバイスのみではなくシステムレベルでAllJoyn向け製品を提供したいとする。

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