メディア
コラム
» 2016年06月23日 11時30分 公開

専門家に聞く:自動運転車に関する3つの疑問 (2/2)

[Junko Yoshida,EE Times]
前のページへ 1|2       

自動運転に関する3つの疑問

 大手の技術企業から新興企業まで、自動運転関連の取り組みを強化したり、同市場への参入を狙ったりするメーカーは多い。だが、自動運転車に関しては、疑問ばかりが頭をもたげてくる。

【疑問1】自動運転車では、人工知能(AI)のテストはどのように行うのか? 何をテストすべきかは決まっているのか?

 IHSの車載半導体分野の主任アナリストを務めるLuca de Ambroggi氏は、EE Timesに対して、「運転免許試験で人間のドライバーを認定するのと同じように、自動車業界は、AIの安全性を認定する基準や手順を設定する必要がある」と述べた。


【疑問2】自動運転車向けSoC(System on Chip)はどのように実装するのか? SoCが正常かつ安全に実装されていることをどう証明するのか?

 Arterisのマーケティング部門でバイスプレジデントを務めるKurt Shuler氏は、「現時点では、ARMのような標準的なCPUと、独自のカスタムハードウェアアクセラレータをSoCとして集積している。設計チームがまず取り組むべき課題は、ハードウェアとソフトウェアに、アルゴリズムをどのように分割して実装するのか、その最適な方法を確立することだ」と述べた。

 Shuler氏は、「こうしたデバイスを車載で利用する場合の品質評価方法と、自動車の機能安全規格である『ISO 26262』の準拠についても規定する必要がある」と指摘する。同氏は、「設計チームは、高度に専門化したIPアクセラレータを搭載したスーパーコンピュータ並みのSoCを開発することになるだろう。マルチコアデバイス(キャッシュコヒーレンシを使っているものも含む)の評価方法や指標などを決定するには、ISO 26262に準拠することが必要になると考えられる」と続けた。


【疑問3】自動車メーカーは、カーシェアリング事業への参入を狙っているが、この動きは本当に、自動運転車の開発計画を加速させているのか。

 少なくとも、ADAS(先進運転支援システム)を手掛けるイスラエルのMobileyeはそう確信しているようだ。同社は、「自動車メーカーは、カーシェアリング事業を自動運転車のテストベッドと捉えていて、Uberのような配車サービス企業に先駆けて、自動運転車のカーシェアリング事業に参入したいと考えている」と語っている。

 だが、シナリオ通りにはいかないだろう。米国の消費者は基本的に、公共交通機関を利用するより自分の車を運転するのが好きだ。あらかじめ決められた特定のルートを走るだけの自動運転車に、突然熱い視線を向けるとは考えにくい。

自動運転車は3D TVと同じ道をたどるのでは、という声も

 これは、壮大な社会実験ともいえる。試してみる価値はあるかもしれない。カーシェアリング事業は、自動車業界にとって福音となり得るのだろうか。筆者には確信はないが、都市部の路面電車が半世紀前に秘かに衰退したことを思い出さずにはいられない。

 だが、カーシェアリング事業が成功するかどうかは別として、既に配車サービスを利用しているような運転したくない人にとっては、自動運転車は必要なのではないだろうか。

 筆者は今週、半導体企業の元幹部で現在米国テキサス州オースティンに住んでいるエンジェル投資家のRobert Hollingsworth氏に会った。同氏は、Esquire誌に掲載された『自動車の未来についての真実』というタイトルの記事のコピーを筆者に送ってきた。その記事に付けられていたメモに書かれていた言葉が印象的だった。「この記事が役に立つかもしれません。私はこれを読んで、“自動運転車は、オフィスのペーパーレス化あるいは3D TVと同じ道をたどるのかもしれない”との思いをあらたにしました。必ずしも“できること”が“やるべきこと”とは限らないのです」

【翻訳:青山麻由子、滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSフィード

公式SNS

All material on this site Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
This site contains articles under license from AspenCore LLC.