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» 2016年08月12日 11時30分 公開

イノベーションは日本を救うのか 〜シリコンバレー最前線に見るヒント〜(5):インターネット時代の幕開け (2/2)

[石井正純(AZCA),EE Times Japan]
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イーサネットの登場

 1980年に入ると今度はPCやワークステーションなどをより効率よく使うためのソフトウェア企業が数多く生まれるようになった。マイクロソフトのDOS(Disk Operating System)や表計算のビジカルク(VisiCalc)が出てきたのも、このころである。

 1980年代半ばになると、今度はこれらのPC、ワークステーション、コンピュータをつなぐための通信技術が、次の波としてシリコンバレーに押し寄せた。

 PARCに在籍していたボブ・メトカーフがイーサネットを発明したのは1973年のことだ。その後メトカーフは1979年、3Com(スリーコム)という会社を設立した。1980年代の半ば、先述した通り、コンピュータ同士を接続したいというニーズが爆発的に高まったことでイーサネットはLANのスタンダードになった。

 そして1984年、互換性のないコンピュータ同士をつなげるルーターを開発するためにシスコ・システムズが創立された。

インターネットの商業化が進む

ARPANETのラフな設計図 出典:DARPA

 1990年代になると、遠隔地のコンピュータをネットワークでつなぐインターネットの商業化が始まった。

 インターネットの起源はアルパネット(ARPANET:Advanced Research Projects Agency Network)と呼ばれ、1960年代末の冷戦のさなかに、米国国防省の傘下にある米国防高等研究計画局(DARPA)が中心となって開発されたネットワークであることは、よく知られている。なお、ARPANETは1985年にInternet(インターネット)という名称に変わった。

 当時、インターネットブラウザなどは存在しない。ARPANETは、政府や大学の関係者が、もっぱら電子メールを利用するためだけに使われていた。通信速度は約150ビット/秒(bps)、最大でも300bps程度で、1秒間に40文字も送れないような時代だったのである。

音響カプラーを電話機と結合している様子 出典:Rama, CC BY-SA 2.0 fr, Wikipedia「音響カプラー」

 同じころ、データ通信を行う機器として「音響カプラ」が使われていた。データを音声信号に変換し、電話の受話器を介してデータを送受信する、いわばモデムである。若い世代の皆さんは知らないと思うので、ぜひ検索してみてほしい。右の画像のように、電話機の受話器をカパッとはめている面白い機器の写真がたくさん見つかるはずだ。

 1993年には、モザイク・コミュニケーションズが、初のインターネットブラウザ「NCSA Mosaic」をリリースし、インターネット時代の幕開けを飾った。Mosaicは、米国イリノイ大学のスーパーコンピュータ応用研究所(NCSA:National Center for Supercomputing Applications)のマーク・アンドリーセンが中心となって開発したものだ。モザイク・コミュニケーションズは、アンドリーセンが、シリコングラフィックスの創立者でスタンフォード大学の教授でもあったジム・クラークとともに立ち上げた会社で、後のネットスケープコミュニケーションズである。

 1990年代の半ば、インターネットが普及し始めると、インターネット・インフラをベースにした、さまざまなビジネスチャンスが大きく広がってきた。IT技術が生産性に及ぼす影響が大きな分野は、ニュー・エコノミーとして脚光を浴びるようになった。これらインターネット関連の新しいソフトウェアや、インターネット・インフラを支える新しいハードウェアも多く開発されるようになった。インターネットの商業化は、世界中の情報産業のみならず、経済活動や人々の日常生活まで変えてしまったといっても過言ではないだろう。

 こうした始まったインターネットバブルは、2000年代に向けて猛進していくのである。

次回につづく


「イノベーションは日本を救うのか 〜シリコンバレー最前線に見るヒント〜」連載バックナンバー


Profile

石井正純(いしい まさずみ)

ハイテク分野での新規事業育成を目標とした、コンサルティング会社AZCA, Inc.(米国カリフォルニア州メンローパーク)社長。

米国ベンチャー企業の日本市場参入、日本企業の米国市場参入および米国ハイテクベンチャーとの戦略的提携による新規事業開拓など、東西両国の事業展開の掛け橋として活躍。

AZCA, Inc.を主宰する一方、ベンチャーキャピタリストとしても活動。現在はAZCA Venture PartnersのManaging Directorとして医療機器・ヘルスケア分野に特化したベンチャー投資を行っている。2005年より静岡大学大学院客員教授、2012年より早稲田大学大学院ビジネススクール客員教授。2006年よりXerox PARCのSenior Executive Advisorを兼任。北加日本商工会議所、Japan Society of Northern Californiaの理事。文部科学省大学発新産業創出拠点プロジェクト(START)推進委員会などのメンバーであり、NEDOの研究開発型ベンチャー支援事業(STS)にも認定VCなどとして参画している。

新聞、雑誌での論文発表および日米各種会議、大学などでの講演多数。共著に「マッキンゼー成熟期の差別化戦略」「Venture Capital Best Practices」「感性を活かす」など。


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