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特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2016年08月16日 11時30分 公開

IoTデバイスの開発秘話(1):富士通の居眠り検知センサー、なぜ耳たぶなのか (3/3)

[庄司智昭,EE Times Japan]
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高速バス会社へ採用が決定

 楠山氏は、FEELythmで居眠り運転の予兆を検知することで、ドライバー本人が眠気に対する“自覚”を持つこと、管理者にとってドライバーの状態が“見える化”することが重要と指摘する。見える化したデータにより個人の特性を捉え、ドライバーの疲労軽減や、効果的な安全指導につなげることが最終的な狙いにある。

 実際に、FEELythmを使用しない状態と装着している状態で比較すると(下記図)、使用しない状態では覚醒度が低下した状態が継続し、眠気による危険度が増大していることが分かる。装着している状態では、バイブレーションによる通知に反応しているため、「眠気予兆、検知での注意喚起として効果がみられた」(楠山氏)という。

FEELythmからの通知による効果。FEELythmを使用しない状態では、覚醒度が低下した状態が継続している。急に覚醒度が上昇している部分(右側の青色矢印)は、白線を超えてしまうなどの本当に危険な状態にドライバーが気付いたときのことを指している (クリックで拡大) 出典:富士通

 発表から1年以上が過ぎ、同社は販売活動を進めてきた。2016年7月には、高速バス事業を運営するウィラーエクスプレスジャパンが、同年10月までに約200台のバスへFEELythmを導入すると発表している。楠山氏は「引き合いは増えてきたが、まだ認知度が足りないのが正直なところ。安全に対する意識は高まってきているが、業界の方々がFEELythmのような機器の存在を知らない場合が多い。各地域でセミナーを開催して、徐々に認知度を上げていきたい」と語る。2018年中に、累計7万台の販売を目指す。

 将来的には、健康機器のデータとの連携を行い、眠気判定データと組み合わせた分析ツールを提供予定。また、脈波は眠気以外にも「集中度」「ストレス疲労」などが検知できるため、それらを生かしたサービスも検討していきたいとした。

3種類の製品形態

 FEELythmの製品形態は、富士通製デジタコと連携した車載機連携型、スマートデバイス連携型、スタンドアロン型の3種類となっている。車載機連携型のセンサー本体の価格は3万8000円で、専用のレシーバー(2万2500円)+シリアル通信ケーブル(2500円)=6万3000円が必要になる。スマートデバイス連携型のセンサー本体は5万円、Android4.4.2以上/Bluetooth4.0搭載端末のスマートフォンが必要である。オプションにより異なるが、本体価格とは別に運行管理SaaSシステムの月額費用が掛かるという。低コストで小規模運用で始めたい場合は、スタンドアロン型を選択すると良いだろう。

 導入にあたっては、国土交通省が定める「過労運転防止のための機器導入に対する補助制度」が利用できる。1事業者当たりの限度額は80万円で、取得に要する経費の2分の1が補助される。つまり、デジタコ連携型の場合は1台あたり、3万1500円が補助されるのだ。募集期間は2016年7月1日〜11月30日となっているが、予算がなくなり次第終了なので注意してほしい。詳細は、国土交通省のWebサイトから確認できる。

FEELythmの製品形態と価格帯 (クリックで拡大) 出典:富士通

 なお、「心臓疾患やてんかんの発症前に検知できるようになるか」と聞いたところ、「眠気のデータと体の異変に相関関係が見つかったなら、可能性としてなくはない。現状のFEELythmは、それらの発症前に検知するのは難しいだろう」(楠山氏)とした。

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