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» 2016年08月18日 11時30分 公開

村田製作所 取締役常務執行役員 中島規巨氏インタビュー【後編】:ソニー電池事業買収、4つの勝算 (2/2)

[竹本達哉,EE Times Japan]
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黒字化は、あまり難しいとは思わない

EETJ 利益面を考えると、買収する事業はこれまで収益面で苦しんできたわけですが、収益性改善、黒字化の見通しをお聞かせください。

中島氏 まあ、黒字を目標にしても面白くないけれど、黒字を目標にするならば、簡単ではないが、あまり難しいとも思っていない。

 バッテリー事業は作り方や材料などの面で、ソニーの事業としては、特殊な事業だったといえる。だから、バッテリー事業に関わる技術開発は全てバッテリー事業部門が自前でする必要があった。

 けれど、ムラタの中に入ってくれば、セラミックコンデンサー事業など他の事業部門と多層技術や材料技術、モノづくりなどを共有できる。(買収する事業の)限界利益率もそれほど低くはないので、黒字にすることはあまり難しくない。

 10年先の技術開発でも、ソニーであれば、バッテリー事業だけのための開発になるが、ムラタであれば、いろいろな事業と共に開発でき、負担を軽くすることもできる。間接費の見方、モノづくりのやり方が大きく変わるはずだ。

 (ソニーの)バッテリー製造ラインを見たが、われわれが見て「珍しい」と思うような装置はほとんどなかった。粉をこねる装置だったり、シートを敷く装置だったり、コンデンサーの製造ラインで見ている製造装置が並んでいた。同時に、われわれであれば「もう少し工夫するのになあ」という部分もあった。コンデンサーのこれまでの合理化の過程であったり、セラミック多層の合理化の過程であったり、生産を効率化するアイデアはいくつもある。

 黒字化よりも、あくまで事業をどう成長させるかに主眼を置いている。

「全固体電池技術」

EETJ 成長に向けた戦略は、どのようなものですか。

中島氏 モバイル機器向けは、残念ながら市場が成熟しているが、容量や充放電レートを他社に先んじてアップさせ、シェアを上げていくことが必要だと考えている。

 あとは、ムラタもソニーも手掛けてきたオリビン系正極材を使ったハイパワーな電池があるので、工作機器などの産業用途向けでも伸ばしたい。パワー系電池は、UPSやアイドリングストップなどでも必要であり、需要は伸びる。パワー系では、勝てると思っている。

 リチウムイオン電池で見た場合、われわれは世界シェア5位となるが、1位までちょっと距離がある。さすがに「リチウムイオン電池シェア1位」は難しいと思っている。そこで、近いうちに、全固体電池に入れ替えていく。

 全固体電池開発については、これまで社内でも行ってきたが、かなりソニーが先行し、開発が進んでいる。全固体になれば、ますます、電池の作り方は、積層セラミックコンデンサーと同じになり、いかに薄く、いかにたくさん積むかの世界になる。そこは、ムラタの得意分野だ。

EETJ 全固体電池で、世界シェア首位を目指していくのですね。

中島氏 そういうことになる。実は、この“全固体電池技術を持っているプレーヤー”であることが、4つ目の買収理由だ。

2018年、全固体電池を製品化へ

EETJ 全固体電池の事業化時期はいつ頃を計画していますか。

中島氏 2018年に製品を市場に出したいと思っている。

EETJ 用途はまず、どこから見込んでいますか。

中島氏 特性としては、ほぼリチウム電池と同じであり、モバイル機器なども用途に含まれるだろうが、最初は、コストが見合う用途からになるだろう。リチウム電池と特性と同じでも、安全性が極めて高いなどの特長が生かせる用途だと思う。

EETJ 自動車向けへの展開は。

中島氏 もちろんあるが、当初は車載以外の容量の小さいところから、経験を積む必要があるだろう。

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