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ソニー製チップの採用でFD-SOIへの関心高まる?Huamiのスマートウォッチ(1/4 ページ)

28nm FD-SOIプロセスを採用したソニーのGPSチップが、中国のスマートウォッチに搭載された。FD-SOIプロセスに対する関心が高まる可能性がある。

» 2016年10月06日 15時30分 公開
[Junko YoshidaEE Times]

ソニーにとって大きな勝利

 FD-SOI(完全空乏型シリコン・オン・インシュレーター)の推進者たちは、同技術の消費電力の低さを盛んに主張してきたが、それがよく分かるような最終製品がなかなか市場に投入されなかった。半導体業界の多くの技術者たちが、FD-SOIについて懐疑的な見方をしていたため、それを払拭しなければならないという苦労があった。

 これまで、「FD-SOIとは実質的に、どのような技術なのか」「商業市場に実際に投入されている製品は存在するのか」「どのようなメリットがあるのか」といった疑問が繰り返し投げかけられてきた。

 しかしついに、FD-SOIを適用した製品が正式に発表された。Xiaomi(シャオミ)のサブブランドであるHuamiが、2016年9月に中国で発表したスマートウォッチ「Amazfit」に、ソニーが開発した28nm FD-SOIプロセス適用GPSチップを搭載したのだ。

 Amazfitの販売価格は120米ドル。アクティブトラッキング用のセンサー各種を備え、Bluetooth 4.0、Bluetooth Low Energyに対応する他、Wi-FiやGPS、NFCなども搭載する。さらに電池寿命も長いという。Huamiによれば、1回の充電で約5日間使用でき、GPSセンサーは約35時間動作できるとする。

ソニーのFD-SOIチップを搭載したHuamiのスマートウォッチ

 これはソニーにとって、大きな勝利だといえる*)

*)関連記事:ソニーの低消費ICはウェアラブルの希望になるか

 Huamiのスマートウォッチは、FD-SOIがうたう超低消費電力を明確に実証していることから、FD-SOIの推進者たちにとっても、非常に大きな勝利となるのではないだろうか。

 SoitecのCEOであるPaul Boudre氏は2016年10月、EE Timesのインタビューに応じ、「半導体業界では2015年に、FD-SOIに関する議論が繰り広げられた。その時焦点が当てられていたのは、FinFETとFD-SOIという2つのプロセス技術についての係争だった」と述べている。

 しかし、FD-SOIをめぐる議論は2016年に、ようやく理論を超えられるようになった。Boudre氏はこれについて、「製品やアプリケーションに応じて技術の選択を判断するという競争に変化してきた。FD-SOIの今後の展開を決定付けるのは、最終製品で真のエネルギー効率を達成できるという、価値そのものにある」と説明する。

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