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“人も歩けば電波が飛ぶ”、無線タグ開発キット環境発電でバッテリーレス(1/2 ページ)

モノワイヤレスは、無線タグ用の開発キット「TWE-LITE SWING(トワイライト・スウィング)」を発表した。振動を利用する環境発電(エナジーハーベスト)によって電波を送信できるので、電池を搭載する必要がない。工場や工事現場、病院などにおいて人の位置を検知する用途や、リモコンなどのUI(ユーザーインタフェース)といった用途に向ける。

» 2016年10月25日 09時30分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

モノワイヤレスの第1弾

 東京コスモス電機のワイヤレス事業部門から分社独立する形で設立された「モノワイヤレス」。2015年10月21日に営業を開始してから、ちょうど1年がたった。モノワイヤレスは、東京コスモス電機ワイヤレス事業部の主力製品だった無線モジュール「TWE-LITE(トワイライト)ファミリー」およびサービスを引き継いでいる*)

*)関連記事:東京コスモス無線部門が独立、モノワイヤレスに

 その同社が、モノワイヤレスとしては第1弾となる「TWE-LITE SWING(トワイライト・スウィング)」を発表した。環境発電(エナジーハーベスト)を利用した無線タグの開発キットである。電池を使わずに電波を送信できるのが最大の特長だ。

無線タグ開発キット「TWE-LITE SWING」の外観。本体のサイズは48×28×15mm、重さは22g。動作温度は−10〜50℃である。

 環境発電としては振動を利用する。共振周波数は約5Hz。モノワイヤレスの社長を務める齋藤弘通氏によると、5Hzというのは、人が歩いた時や、ゆっくりと何かが揺れる時、何かを揺らす時くらいの周波数だという。つまり、TWE-LITE SWINGを使って開発した無線タグを身に着けて歩くだけで、電波を送信できることになる。

TWE-LITE SWINGの構成(クリックで拡大) 出典:モノワイヤレス

 TWE-LITE SWINGは、振動発電機、電源制御回路、無線マイコン「TWE-LITE」で構成されている。振動発電機以外はモノワイヤレスの技術だ。振動発電機で発電した電力を、電源制御回路でTWE-LITEの動作電圧に変換して、TWE-LITEに供給する。無線はIEEE 802.15.4に準拠したもので、2.4GHz帯を利用する。送信出力は2.5dBmで受信感度は−95dBm。通信速度は250kビット/秒だ。見通しのよい理想的な条件下であれば、電波の最大送信距離は1km。街中では最大約200mだという。

 開発キットには、ハードウェアを拡張するためのボード(拡張ボード)が1枚添付されている。この拡張ボードは、スイッチやセンサー、LEDなどの電子部品を実装できるプロトタイプエリアと、ソフトウェアを書き込むための端子を備えており、TWE-LITE SWING本体の12端子インタフェースコネクターに接続して使用する。

左=拡張ボードの外観。「CN1」はソフトウェアの設定、書き込みを行う時に使用する端子。「CN2」は、TWE-LITE SWING本体と接続するための12端子の標準コネクター/右=プロトタイプエリア。接続を簡単にするため、中央の横一列は電源ラインになっていて、このラインを挟んで、上下4個ずつが縦に接続されている。ブレッドボードと同じだ(クリックで拡大) 出典:モノワイヤレス

 搭載されているマイコンは、ソフトウェアを書き換えることで、機能を追加したり変更したりできる。開発環境として「TWE-SDK」が無償で提供されることに加え、すぐに動作確認を行えるよう、無線タグアプリがあらかじめインストールされている。また、モノワイヤレスのUSBスティック「MONOSTICK(モノスティック)」を使うと、TWE-LITE SWINGのOTA(Over the Air)設定も可能だ。

「MONOSTICK」を使ったOTA設定のイメージ。MONOSTICKをPCに差し込むことで、MONOSTICKを介して、子機(今回の場合であればTWE-LITE SWING)のOTA設定が可能だ 出典:モノワイヤレス
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