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» 2016年11月08日 11時30分 公開

中期成長戦略を発表:ルネサスが見据える2020年、車載/汎用事業の行方 (2/3)

[庄司智昭,EE Times Japan]

汎用事業で注力する3つの領域

 産業・ブロードベース事業(以下、汎用事業)では、マイコン/SoCを基点に3つの領域に注力するという。執行役員常務兼第二ソリューション事業本部長の横田善和氏は、「汎用事業は、構造改革の影響を大きく受けた事業である。構造改革が始まる3年前は、約30%が不採算/非注力の製品を占めていた。これらの製品群は、2016年度で整理がほぼ完了する予定で、2017年度以降は大きく伸ばしていけると思っている」と語る。

汎用事業におけるマイコン/SoCのシェア。横田氏は、「ヘルスケア分野でのマイコン/SoCシェアは約9%で、もっと伸ばせると思っている。家電におけるマイコン/SoCシェアは41%とナンバーワンであり、スマート家電とヘルスケアは、これから密接に関わる領域だから」と語る (クリックで拡大) 出典:ルネサス
横田善和氏

 注力する1つ目の領域は、「スマートファクトリー」である。マイコン/SoCで約27%のシェアを獲得しているだけでなく、産業用イーサネットで求められるリアルタイム応答を可能にするマルチプロトコル通信LSI「R-IN」を提供してきた。R-INでは、リアルタイムOSが持つ基本機能を一部をハードウェア化して、CPUの負荷が大きい処理を担うため、大幅な高速動作を実現しているのが特長だ。

 今後は、インダストリー4.0の実現に向けて、組み込み向けAI「e-AI(embedded Artificial Intelligence)」や、スマートメーターで実績のあるPLC(電力線通信)を組み合わせることで、センサーノードへと事業を拡大していく。

 2つ目の領域は、「スマートホーム」である。41%のシェアを持つ家電用マイコンを基点に、スマート家電/ヘルスケア/HEMS(Home Energy Management System)分野に展開。e-AIとセキュリティ、ワイヤレス給電技術などをキーワードに挙げる。

「スマートホーム」と「スマートインフラ」における注力技術 (クリックで拡大) 出典:ルネサス

 3つ目の領域は、「スマートインフラ」である。ICTやBOA(Building & Office Automation)、EMS(Energy Management System)向けに、光通信やUSB Power Delivery(PD) 3.0、IGBTなどの技術を展開する。2016年4月には、USB PD 3.0対応の電源IC「RAA230161」を発表している他、同年10月には100Gビット/秒の光通信を実現する半導体レーザーダイオード「NX6375AAシリーズ」などを発表している。

Synergyは200億円の売り上げを

 IoT/組み込み機器向け開発プラットフォーム「Renesas Synergyプラットフォーム(以下、Synergy)」も、ルネサスが汎用事業で注力する1つだ。横田氏は、「これまで大手の顧客を中心に製品を提供してきた。しかし、IoT時代となり、新しいビジネスを生む企業がどんどん生まれてくる。それらの企業に、より早くアイデアを具現化するプラットフォームとして、2015年10月にSynergyの提供を開始した」と語る。

 Synergyは、動作が保証されたリアルタイムOS/ファームウェアなどの「ソフトウェアパッケージ」「マイコン」「開発環境」、同プラットフォームを利用した開発方法などが記載された「ソリューション」、ソフトウェアや開発環境がダウンロードできる「ギャラリー」で構成されている。提供開始から1年がたち、「デザインインを順調に獲得しており、1年間で100億円以上の売り上げが出ている。ワールドワイドに展開を進めながら、2020年には200億円の売り上げを目指したい」(横田氏)としている。

「Renesas Synergy Platform」の概要 (クリックで拡大) 出典:ルネサス

 また、2016年10月にルネサスが開催したプライベートイベント「DevCon China 2016」では、Synergy専用のマイコンとして、ARMが同年10月25日(米国時間)に発表した「Cortex-M23」「Cortex-M33」が加わる予定であることが発表されている。

 同じく2016年10月には、組み込みLinuxの導入を容易にする「RZ/G Linuxプラットフォーム」も発表している。Synergyと同様に、組み込みプロセッサ「RZ/Gシリーズ」だけでなく、動作保証したLinuxとマルチメディア(H.264コーデック/3Dグラフィックス)、セキュリティ、GUIフレームワークなどのミドルウェアで構成するソフトウェアパッケージ「Linux標準パッケージ」と、クラウドベースの開発環境が提供される。

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