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» 2017年01月16日 11時30分 公開

太陽誘電 社長 登坂正一氏インタビュー:売上高3000億円超の世界へ「野武士を組織化する」 (2/5)

[竹本達哉,EE Times Japan]

営業、生産スタイルを変革へ

EETJ 注力市場で売り上げ比率38%達成に向けて、必要なことは何でしょうか。

登坂氏 まず、営業スタイルを変えなければならない。これまでの太陽誘電の営業は、特定の顧客に大量の部品を販売するスタイルだった。このスタイルは、(競合に比べて)事業規模の小さい企業として生き抜くために必要なスタイルだったと考えている。(競合より優れる性能、特性を実現する)スーパーハイエンド商品に注力するという事業戦略は、まさに戦国時代を生き抜いた小大名の真田家の戦法のようなもので、局地戦で勝利し、生き抜いてきた。

 ただ、この営業スタイルは、賭けたところで当たらなければ、死に絶えてしまう。不安定な社会では、リスクが大きい営業スタイルだ。これまでのように、難しいところだけ太陽誘電に任せてくださいというのでは、通用しなくなる。

 そこで今、売り先を(大口の)特定顧客にとどめず、ロングテールのところまで広げていこうと、売り方、営業スタイルを模索し、変えている。

 そして、ロングテールの顧客に製品を販売していくとなると、顧客は必ずしもスーパーハイエンド商品を求めるわけではなく、「汎用的な製品も欲しい」となるだろう。したがって、われわれは、製品の作り方も変えていかなければならない。

EETJ どのように生産体制を変えていくのですか。

登坂氏 太陽誘電の基本ビジネスは、コンデンサー、インダクター、フィルターの3つ。これらは、基本的に単品であり、どこにでも売ることができる。ただ、現状は、より大きな量を、より多くの品種を製造した場合に、ロスが大きくなってしまう。今後の鍵は、効率を高めた製造ができるかどうかが鍵になる。

 製造効率を高める手段は“見える化”だ。

 実は、15年ほど前に私が製造本部長に就任した際、“Gシステム”と呼ぶ、海外を含めた各製造拠点の重要製造工程の状態を見える化するシステムを導入した。それまで、製造に関する情報は拠点ごとに持っており、他の拠点には閉ざされていた。例えば、積層工程で、1日当たり何枚積層できるかという情報さえも、それぞれの拠点以外では分からなかった。しかし、これを見える化したことで、拠点間で効率を競うことになり、すぐに積層できる枚数は2倍へと増え、最終的には4倍に高まるまでの大きな効果を得た。

 そして現在、IoT(モノのインターネット)の時代となり、15年前よりも簡単に、安くシステムを導入できるようになったので、あらゆる工程を見える化していこうと思っている。これまでの見える化は、重要工程、いわば、装置の見える化だったが、これを人の作業まで見える化していこうとしている。

 そして、あらゆる製造工程を見える化した上で、販売や財務などの管理を行う基幹系システムと、製造系システムをひも付けする。社内では“スマートE”と呼んでシステム開発に着手したところだ。売り上げ、財務といった“結果”と“製造”をシンクロさせないと、製造効率は上がってこない。製造がどう収益に結びついたかを見える化しないといけない。“スマートE”が実現できれば、多くの顧客に販売を行っても収益を確保できる。

EETJ “スマートE”の導入時期はいつ頃を予定していますか。

登坂氏 電子部品需要は、IoTで大きく増えていく。IoT市場が立ち上がれば、少量多品種の製造が求められてくる。大量に同じものを売るわけにはいかない。顧客を広げるほど、少量多品種の生産の要望が増える。ただ、IoT市場はまだ模索、試作の段階であり、ここ2年はトライアンドエラーが続くだろう。そして2018年ごろに、IoT市場の姿がはっきりし、市場が立ち上がる。IoT市場の立ち上がりまでには、2〜3年の猶予があるということ。そこに“スマートE”が間に合えばと思っている。

 “スマートE”が実現できなければ、生き残ることは難しいだろう。しかし、“スマートE”が実現でき、売り方、作り方が変われば、注力市場での売り上げ比率38%を達成できるだろう。

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