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最大15cmの距離でジェスチャーを認識国際カーエレクトロニクス技術展(1/2 ページ)

オン・セミコンダクターは、「第9回国際カーエレクトロニクス技術展」で、「快適空間ソリューション」や「駆動系ソリューション」「安全走行ソリューション」を提案するとともに、関連する新技術/新製品を紹介した。

» 2017年01月20日 12時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

独自の相互差動容量センシング方式を採用

 オン・セミコンダクターは、「第9回国際カーエレクトロニクス技術展」(2017年1月18〜20日、東京ビッグサイト)において、「快適空間」や「駆動系」「安全走行」に関連するソリューションを提案するとともに、最新技術や新製品を紹介した。

 その1つが静電容量タッチセンサー用の容量デジタルコンバーター「LC717A30UJ」である。検知距離が最大15cmと同社従来製品に比べて3倍長く、水滴が付着しているような状況でも手や指先を検知できるなどの特長を持つ。ブースでは、ジェスチャー検知による車室内灯の点灯や輝度調整のデモ、ぬれた車載ドアノブにおける手の検知デモなどを行った。

雨などの水滴には反応しない(左)が、手を近づけると検知(してLEDが点灯)する(右)車載ドアノブのデモの模様

 静電容量タッチセンサーはこれまで、自己容量方式と呼ばれる検出方法が一般的に用いられてきた。指先など人体と電極との間に生じる静電容量の変化を検知して、タッチ操作の有無を判断する。構造は簡単だが、操作面に水滴などが付着するとその影響で静電容量が増加し、正しく検知できない場合もあるという。

 これに対して同社のLC717A30UJは、独自の相互差動容量センシング方式を採用した。送信用と受信用の電極に電界をかけ、両電極間の電界を検出する仕組みである。「この方式だと操作面に水滴が付着してもほとんど影響なく、人体と水のレベルを判別することができる」(説明員)という。

LC717A30UJの外観

 また、フェムトファラッド単位の容量変化を検知できる分解能を実現し、自動キャリブレーション機能やノイズ除去機能などにより、15cmの距離があっても人体を検知することが可能となった。

 LC717A30UJは、8個の容量感知入力チャネルを備えている。応答性は8個の感知チャネルに対して16ミリ秒と高速で、スイッチアレイなどに対応している。この他、入力チャネル選択用マルチプレクサー、A-Dコンバーター、デュアルステージアンプ、システムクロック、パワーオンリセット回路などを集積した。

 動作電源電圧は2.6〜5.5Vで、待機モード時の消費電流は1μAと小さい。車載向けICの品質管理規格である「AEC-Q100」にも準拠している。さまざまなスイッチパターンの動作評価を行うための静電容量タッチセンサー動作評価ボード「LC717A30UJGEVK」なども用意した。

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