メディア
連載
» 2017年01月31日 11時30分 UPDATE

Over the AI ―― AIの向こう側に (7):抹殺する人工知能 〜 生存競争と自然淘汰で、最適解にたどりつく (2/13)

[江端智一,EE Times Japan]

大統領選予測のシミュレーションが0秒に

 さて、前々回前回と、合衆国大統領選挙について、その不可解な選挙制度や、それに伴う問題点、そして利点(仮説)を展開して、AIによる選挙の予測の難しさを説明してきました。

 簡単に言うと、(1)合衆国大統領選挙の「投票人制度」は、直感に反する選挙人数を弾き出し、(2) 投票比率のわずかな変化に対して、選挙人数が劇的に変化する、というものです。

 上記の結果を得るために、私は自宅のPCで乱数シミュレーションを実施しました。1回連続14時間、総合計200時間くらい、連続でPCを動かし続けました。

 ところが、私のコラムを読んで頂いたデータエンジニアのgauraさんが、超高速のシミュレーション方式を案出され、この14時間を59秒にまで短縮(0.2%以下)することに成功したのです(時をかける人工知能 〜たった1つの数値で結果から原因に遡る)。

 さらに、前回の連載で、私は「乱数を全く使わない定式化」の可能性に言及していましたが ―― すっかり忘れていました。『正直、無理だろうな』と思っていました。

 ですから先日、gauraさんから「大統領選の理論解が分かった」というメールを受けたときは、PCの前で「は?」と声を出してしまうほどだったのです。

 送付していただいたページの内容を読んでいくうちに、私は、自分の顔色が、みるみる青ざめていくのを感じました。

 そこには、「投票率」と「各州の人口と選挙人数」の値だけがあれば、確定的に論理解が導き出せることが記載されていたのです。

 ぶっちゃけて言えば、江端の200時間分のシミュレーションを0秒*)で終了できる、ということです。

*)"0秒"とは、0.000001秒という「短い時間」という意味ではなく、シミュレーションの計算をする必要が全くない、ということです。

 ―― あー! そっかーーー! 線形に展開できるのかぁ!!

 このページを印刷したものに赤ペンで書き込みを入れていた私は、ペンを持つ手が震え、その数式の美しさに卒倒しそうになりました。

 この段階で、私は、読者の皆さんが、gauraさんのこのページの数式を真面目に読む気がないことは分っています(そもそも、この連載は「数式使わない」が約束でしたしね)が、私としては、あなたの『胸ぐらをつかみ』『ちょっと、校舎裏にツラ貸せや』のノリであったとしても、この論理解を理解していただきたいと思うので、無理やり、解説を強行します(1ページ、いえ2ページほど付き合ってください)。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSフィード

公式SNS

All material on this site Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
This site contains articles under license from AspenCore LLC.