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研究における結果の誤り(研究ミス)と、研究不正の違い研究開発のダークサイド(4)(2/3 ページ)

» 2017年02月21日 09時30分 公開
[福田昭EE Times Japan]

観測器具の重要性:望遠鏡と顕微鏡

研究ミス(結果の誤り)と研究不正は異なる(クリックで拡大)

 科学技術の発達と進化は、実験や測定、観測などの科学技術の基盤となる技術の進化とセットであることが少なくない。

 例えば望遠鏡の発明は17世紀の始め、1608年のことだ。望遠鏡以前の天体観測は、肉眼によるものだった。1609年に数学者のガリレオ・ガリレイ(Galileo Galilei)は改良型の望遠鏡を自作し、月や金星、木星とその4つの衛星、土星などを観測して貴重な観測データを残した(Webサイト:「天体写真の世界」の記述を参考にしています)。

 1609年という時代の宇宙観は、「天動説(地球が宇宙の中心で静止しており、太陽や惑星、月などはその周囲を回っているという説)」であり、当時の権力者であるカトリック教会が「天動説」を公式に認めていた。

 ガリレオが望遠鏡によって惑星と月の運動を観測したことが、後に「地動説(太陽を中心に、惑星がその周囲を回っており、地球は惑星の1つであるという説)」を擁護し、カトリック教会によるガリレオの迫害へとつながっていく。

 望遠鏡とともに近代科学の重要な道具となった顕微鏡(光学顕微鏡)は16世紀末、1590年ころに発明された。望遠鏡の発明よりも、約20年ほど前である。興味深いことに、望遠鏡と顕微鏡はいずれも、オランダの眼鏡技師が発明した。望遠鏡の発明者はハンス・リッペルスハイ(Hans Lippershey)、顕微鏡発明者はヤンセン親子(父親のハンス・ヤンセン(Hans Jansen)と息子のサハリアス・ヤンセン(Sacharias Jansen))とされている。

 発明当初の望遠鏡と顕微鏡は当然ながら、非常に未熟な存在だった。その後、改良が重ねられたことで、望遠鏡は天文学と地理学で必須の器具となり、顕微鏡は生物学と医学で必須の道具となっていく。

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