メディア
連載
» 2017年03月13日 11時30分 公開

世界を「数字」で回してみよう(40) 人身事故(最終回):人身事故を「大いなるタブー」にしてはならない (5/9)

[江端智一,EE Times Japan]

「飛び込み」を前提とする鉄道インフラシステム

 そのような抽象的なスローガンを叫ぶだけであれば、その編の政治家とか評論家が、適当なことを山ほど言っています。ここで、私はあえて、具体例をスペルアウトすることで、彼らとの差別化を図りたいと思います。

 それでは、最初に「『飛び込み自殺』を前提とする鉄道インフラシステム」の提言一覧です。

 (1)の「ホームドアの設置」は、鉄道会社が、これから時間をかけても進めて行くと思いますが、(2)の「遺体が散乱しにくい車両の開発」は盲点だと思います。「飛び込み」で一番時間がかかるのは、バラバラになった遺体の発見と回収にあるという話を聞いております。

 ならば、車両の底とレールの間に入り込む余地を絶無にしつつ、衝突時に人体を分解することなく一定の方向に跳ね飛すことに特化した、先頭車両正面の形状の研究開発に投資するのも一案です。もちろん、「人命救助」など目もくれる必要はなく、「遺体のバラバラ化防止」のみに注力すればよいのです。

 (3)の「リアルタイム情報配信」は言うまでもありません。鉄道会社の情報提供が、TwitterなどのSNS情報の即応性に負けているなんぞお話になりません。むしろ、SNSと連携して、超高速のリアルタイム進捗状況の情報提供システムを構築すべきでしょう。

 (5)の「1時間以内の車内からの解放」 ―― 1時間を上限としたもより駅での下車、あるいは、停止場所での希望者の降車は ―― 絶対と考えています。個人的には、私は「人身事故」は、鉄道会社に責任はないと考えていますし、事故の復旧作業にたとえ丸一日かかろうとも一言足りともクレームを言うつもりはありません。しかし、「車内に長時間閉じ込め続ける」ことは、非人道的な拷問であると考えています。

 私は、鉄道システムの研究に従事してきたエンジニアでもありましたので、「安全システム」ついては、徹底的に(うんざりするほど)たたき込まれてきました。

 現状の鉄道安全システム(閉塞区間、ATS、その他)の稼働中は、乗客の下車や降車が簡単にできない(というか、絶望的に難しい)ことを知っていますし、乗客の自己判断による下車によって、対向からやってきた電車に跳ね飛ばされて、100人単位の人が亡くなった痛ましい事件も教えられています。

 加えて、私は「安全」に関する記事を寄稿(参考記事)してきた当事者でもあり、正直、こんなことを言えば、自分の首を締めているような気すらするのですが ―― それでもあえて、私は主張します。


―― なんとかしろ


と。

 運行管理システムの大改修が必要となり、安全確保手段を設計することが絶望的に難しいことであったとしても、それはシステム運用サイドの理論にすぎません。尿意や便意をこらえる苦しみの渦中にある乗客である私にとっては、そんなことは関係のないことです。

 もし私がそのような目にあって、万一、一線を超えてしまったら、漏尿し脱糞した情けない自分の写真をブログに掲載して、「このような目に遭わせた○○鉄道会社」と、生涯、掲載し続けるくらいの覚悟があります。

 (6)の「苦情受付コールセンタ」は、その私や、その他多くの人の、便意の苦痛の悲鳴や苦痛を、鉄道会社はリアルタイムで聞け、ということであり、さらに(7)の「自殺者情報の開示」は、そのような苦痛を私に会わせた「飛び込み自殺」の当事者を、私に正当に憎ませ、罵らせろということです(「お客さま同士のトラブル」の当事者も同様)。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSフィード

公式SNS

All material on this site Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
This site contains articles under license from AspenCore LLC.