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» 2017年03月13日 11時30分 公開

世界を「数字」で回してみよう(40) 人身事故(最終回):人身事故を「大いなるタブー」にしてはならない (7/9)

[江端智一,EE Times Japan]

「飛び込み」を前提とした政策、そして教育

 最後に、「『飛び込み自殺』を前提とする政策、教育担当者」への提言となります。

 (1)の「自殺対策基本法に基づく政府や地方自治体の対応」は、あまり目立ってはいませんが、立派な成果を上げていると私は思っています。「自殺者が確かに減少している」という数値が、その事実を示しています。

 (2)の「自殺者データのオープン化」は、今回の連載で、多くのデータを開示して頂いた、国土交通省の担当者さんへの謝意も兼ねております。たったの620円で、たくさんの有用なデータを頂いたことは、今でも感謝しております。

 ただ、今回思ったことは、このようなデータを、請求に応じていちいち作成するのは面倒じゃないかとも思うのです。申請を受けて、一度作成してくださったデータは、オープンデータとして、広く国民に開示しちゃってもいいのではないかなぁ、と思うのです(データ閲覧に課金するのは良いと思います)。ご一考ください。

 (3)(4)の「リアルな自殺についての知識や研究」は教育機関へのお願いになります。冒頭に私が記載した、―― 一体、どこの誰が、どうやって、「飛び込み自殺のリアル」を、彼女たちに届ければいいのか ―― に対するジレンマは、教育のフロントでコントロールするのが、一番良いと思うのです。

 子どもたちの性別、年齢、特性によって、子どもたちがショックを受ける度合いはそれぞれ異なりますので(と同時に、このようなテーマが先生たちにとっても、面倒な課題であることも、よく理解しているつもりです)、ぜひお任せしたいと思うのです(もし、ご要望がありましたら、[交通費だけ出していただければ]あなたの学校に伺って講演致します)。


 しかし、まだこれですら、私は足りないと感じました。「飛び込み自殺」を前提とするシステムであるなら、その「飛び込み自殺」を「活用する」というところまで突き詰めるくらいのマインドが必要であると考えました。

 基本は「予定しなかった、突然発生した、コントロール不能な時間」の活用方法になります。これらの検討は、それ自体、新しいサービスとしても成立しますし、一種の災害(大規模台風、地震など)に対する、サービス面からの治安維持対策の一環にもなると思っています。

 いずれにしろ、私は、「不謹慎」の一言で、何もかも思考停止に陥らせる、「批判し、提案せず、立ち去るだけのモラリスト」の側には、組みしたくないのです。そして、この一年の連載で、そのマインドを貫き通してきたつもりです。

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