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半導体業界がポストCMOS開発に本腰微細化の限界に備える

2017年3月に、「CMOSトランジスタの微細化は2024年ごろに終息する」との予測が発表された。半導体業界は今、ポストCMOSの開発をより一層加速しようとしている。

» 2017年04月03日 13時30分 公開
[Dylan McGrathEE Times]

新材料やアーキテクチャをリスト化

画像はイメージです

 米半導体工業会(SIA:Semiconductor Industry Association)は2017年3月30日(現地時間)、半導体の技術革新を今後も維持していくための優先すべき研究項目をまとめ、そのリストを公開した。従来のCMOS技術によるスケーリング(微細化)の時代は終息に近づいているともいわれる中、エンジニアは新しい材料や製造技術、アーキテクチャ、構造に目を向けている。

 SIAは、米国の半導体研究コンソーシアム(SRC:Semiconductor Research Corp)と協力して作成した73ページに上る報告書「Semiconductor Research Opportunities: An Industry Vision and Guide」を発表した。同報告書は、重要な研究分野としてコグニティブコンピューティングやインターコネクト技術、次世代の製造技術や電力管理など14分野を挙げ、「シリコンベースの従来の半導体を超える新しい技術に対して、政府と業界が安定した投資を行う必要がある」と説いている。

 この報告書は、70人以上が寄稿し、9カ月をかけて作成された。寄稿者には、半導体や航空宇宙、防衛産業の有名企業のエンジニアも名を連ねる。具体的には、IntelやTexas Instruments、Qualcomm、IBM、Micron Technology、TSMC、Analog Devices、Applied Materialsなどの企業が協力している。

 同報告書は、「数十年にわたって半導体業界を支えてきた、『ムーアの法則』の基盤となる従来のシリコンベースの半導体技術は、成熟を迎えており、シリコンを超える技術の新たなロードマップが求められている」と訴えている。

 「ノイマン型コンピューティングでは、低消費電力で低電圧の、CMOSを超えるロジック、メモリデバイスや関連材料の進展が求められる。非ノイマン型コンピューティングでは、新しいメモリ素子と材料が、今後の半導体産業を革新する可能性がある」と同報告書は述べている。

SIAのDavid Isaacs氏

 SIAで政府業務担当バイスプレジデントを務めるDavid Isaacs氏は、EE Timesに対して、「この報告書は、政策担当者、業界の責任者や支持者との協議の中で、資金調達に対する協力を仰ぎ、優先度の高い研究項目に資金を注入することに賛同を得る目的で作成した。SIAは、革新的な次世代半導体技術を継続するために必要と思われる主要な研究テーマの概要をまとめた」と語った。

 「ムーアの法則」を、トランジスタの信頼性と経済性を維持しながら克服するのは難しい。2017年3月には、CMOSトランジスタの微細化は、2024年ごろに終息するという予測も発表されている(関連記事:CMOS微細化は2024年までに終息する見込み)。

 SIAのプレジデントを務めるJohn Neuffer氏は2017年3月30日に発表したプレスリリースの中で、「半導体業界はムーアの法則に沿った開発を進めることで、経済の成長や社会の変革を技術的な点から支えてきた。だが現在は、このペースでトランジスタの搭載数を増加していくのは極めて難しくなっている。政府も巻き込んで、新しい技術を模索し、芽の出た技術を育てていくべきだ」と述べている。

 同リリースによれば、2016年における半導体業界の研究開発費は、売上高全体の15.5%(約565億米ドルに相当)だった。この数値は、他のどの業界よりも高いという。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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