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ルネサス、組み込み向け仮想化技術をR-Carで実現セキュリティと機能安全を両立

ルネサス エレクトロニクスは、車載コンピューティングプラットフォーム「R-Car」用に、仮想化OS向けソフトウェアパッケージの提供を始めた。車両のセキュリティと機能安全を単一システム上で実現できるとする。

» 2017年04月06日 13時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

OTAで安全にソフトウェアをアップグレード

 ルネサス エレクトロニクスは2017年4月4日、車載コンピューティングプラットフォーム「R-Car」用に、仮想化OS向けソフトウェアパッケージの提供を始めると発表した。単一システム上で、セキュリティと機能安全を両立できるという。

 組み込み向け仮想化OS(ハイパーバイザー)として、今回はGreen Hills Software製の「INTEGRITY Multivisor」を採用した。この上に、RTOS(リアルタイムOS)やLinux、AndroidなどさまざまなゲストOSを実装し、必要なアプリケーションソフトウェアを実行することができる。これによって、強固なセキュリティや自動車の機能安全規格で定められたレベルを確保できるという。ハイパーバイザーについては、INTEGRITY Multivisor以外にも順次対応していく計画である。

複数の車載システムを統合することが可能なソフトウェアパッケージを提供 (クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス

 強固なセキュリティ機能を実現するためのソフトウェアも用意した。プログラムの改ざん防止に向けたセキュアブート機能、セキュリティレベルの管理機能、そしてセキュアなプログラム実行環境などに対応したソフトウェアである。これらの機能によって、ソフトウェアのアップデートやOSのアップグレードが、OTA(Over the Air)で可能となる。

 機能安全規格に対応するためのシステム開発も支援していく。「R-Car H3」や「R-Car M3」には、自己の故障を検知するセーフティメカニズムがハードウェアIPで実装されている。この中で用いられているランタイムセルフテスト技術は、故障を検出する自己診断テストをマルチコアのCPUで分割実行することができる。これによって、機能安全に求められる自己診断カバレッジを行うことができる。さらに同社は、セーフティメカニズムを制御するためのソフトウェア供給などを行い、顧客のシステム開発を支援する。

 R-Car H3およびR-Car M3用に今回用意した仮想化OS向けソフトウェアパッケージは5種類。「セキュリティパッケージ」と「仮想化パッケージ」は既に提供を始めた。「仮想化・セキュリティ統合パッケージ」は2017年第4四半期、「機能安全・セキュリティ統合パッケージ」は2018年第1四半期、「仮想化・機能安全・セキュリティ統合パッケージ」は2018年第3四半期に、それぞれ供給を始める予定となっている。

R-Car用に用意した仮想化OS向けソフトウェアパッケージ。なお、表内の「本日」は2017年4月4日のこと 出典:ルネサス エレクトロニクス

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