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» 2017年04月27日 11時30分 公開

Over the AI ―― AIの向こう側に(10):外交する人工知能 〜 理想的な国境を、超空間の中に作る (8/9)

[江端智一,EE Times Japan]

空間を「ひん曲げる」

 では、最後に、この空間を「ひん曲げる」のイメージを具体的に説明しましょう。

 これはつまり、こういうことです。

 普通は、こんな国境を作ることはできません。しかしサポートベクターマシンの真骨頂は、先ほど述べたカーネルトリックであり、ぶっちゃけ、カーネルトリックとは、“半島を2階建てにする”、ということなのです。

 このような高次元空間を考えれば、国境は1Fと2Fでぶった切ればよく、マージンも簡単に作ることができます。サポートベクターマシンはデータを入力すると、カーネル空間や次元の追加を行い、このような国境を(原則として)自動的に作ってしまいます。

 これが、サポートベクターマシンが機械学習型のAI技術といわれるゆえんです。

 さて、このような学習を終えた、本国境問題を取り扱うサポートベクターマシンに対して、江端が亡命したい場所(緯度や経度など)を入力すると、<北>または<南>のいずれかの国民になるのかが自動的に決まることになります。

 このようにサポートベクターマシンは、次元を増やしさえすれば、2つ以上の国境を自由自在に作ることができます(国民の数だけ、国家を作ることも可能です)。

 しかし当然のことながら、そのようなムチャな高次元化をすれば、解空間が広大となり、現実的な時間内で学習を完了させることは困難(というか不可能)になります。

 ですので、実際にはサポートベクターマシンにおいては、前述したように「諦めてもらう人」が存在することを前提として、機械学習をすることができるようにもなっています。

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