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パッケージング産業の再編成(前編)福田昭のデバイス通信(115)(1/2 ページ)

半導体製造工程における「後工程」を担うパッケージング産業の再編成が起こっている。今回から2回にわたり、パッケージ産業再編の動きを紹介する。

» 2017年06月13日 09時30分 公開
[福田昭EE Times Japan]

パッケージング産業における3つのトレンド

 パッケージング産業の再編成が進んでいる。パッケージング産業とは、半導体製造工程における「後工程」、すなわちパッケージの組み立て工程に関連する産業を指す。

 後工程は主に、2種類の企業が担っている。1つは、垂直統合型半導体メーカー(IDM:Integrated Device Manufacturer)である。IDMは前工程(ウエハー処理工程)と後工程(パッケージ組み立て工程)の両方の工場(生産ライン)を有する。もう1つは、パッケージ組み立て請負サービス企業である。「OSAT(Out Source Assembly and Test)」企業、あるいは「SATS(Semiconductor Assembly and Test Service)」企業とも呼ばれる。独自のパッケージング技術を有しており、後工程を持たない半導体企業はもちろんのこと、特殊なパッケージを必要とするIDMからの要望にも応える。

 パッケージング産業では最近、主に3つの動きが進んでいる。1つは、IDMからSATSへの後工程の売却、譲渡である。これは従来からあった動きだが、日本の半導体メーカーで近年、活発になっていた。もう1つは、SATS同士の企業買収、あるいは事業統合である。3番目は、前工程の請負サービス企業(シリコンファウンドリー企業)による、パッケージ組み立てサービスへの参入である。

パッケージング産業の再編成。主に3つの動きが進んだ

日系IDMは「ファブライト」を合言葉に後工程を切り離す

 始めに、IDMからSATSへの後工程の売却・譲渡について少し説明しよう。日系のIDM(垂直統合型半導体メーカー)では、2010年代前半に「ファブライト(製造部門の軽量化)」と呼ばれる動きが一斉に起こった。これまでは国内あるいは海外の子会社で後工程を賄っていたのだが、固定資産を軽くして小回りの効く経営を目指し、後工程をSATSに売却、譲渡する動きが活発化した。

 例えば富士通セミコンダクターは2012年8月に、後工程子会社の3つの工場を日本最大のSATS企業であるジェイデバイスに譲渡することで合意した。2012年12月には譲渡が実行された。

 そしてルネサス エレクトロニクスも2013年1月に、後工程子会社の3つの工場をこれもジェイデバイスに譲渡することで合意した。2013年6月には譲渡が完了した。さらにルネサスは、2014年3月にシンガポールの後工程子会社の製造設備をジェイデバイスに譲渡することで合意した。

垂直統合型半導体メーカーによる後工程の売却事例(日系メーカーからジェイデバイスへの事例)。最近の主な事例を取り上げている

 なおジェイデバイスは、1970年に大分県佐伯市で創業した仲谷電子製作所が始まりである。2009年に東芝の後工程工場を譲受するとともに東芝と米国のSATS大手Amkor Technologyの出資を受け入れて合弁事業会社となり、社名をジェイデバイスに変更した。パッケージ組み立てとテスト、不良解析を手がけている。なお2016年1月に、ジェイデバイスはAmkorの完全子会社となったことが発表された(参考記事)。

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