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「モジュールこそ成長の最大要因」、u-blox CEOハード以外は柔軟に対応も(2/3 ページ)

» 2017年06月28日 09時30分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

自社製と他社製のチップセットを使い分ける

u-blox CEOのThomas Seiler氏

 Seiler氏は、u-bloxが過去20年間、成長を続けた理由について、「1998年にGPSレシーバーモジュールを発表して以来、GNSSレシーバーモジュールのパイオニアとして、確固たる地位を確立してきた。GNSS製品については、モジュールだけでなくチップセットも自社で開発していることが強みだと考えている」と話す。

 ただu-bloxは、全てのチップセットを自社で開発しているわけではない。一方で、新しい分野向けに製品を開発する時には、サードパーティー製のチップセットを搭載することが多いという。「モジュールを安価に販売するためには、ある程度の量産規模が必要になる。新しい分野では、まずは他社製のチップセットを使ってモジュールを組み立て、市場規模を見極めたり、顧客から本当にニーズがあるのかどうかを探ったりする」(Seiler氏)。そして、十分な市場規模が見込めると判断したら、自社でもチップセットを開発する。

 その一例が、セルラーIoTまたはセルラーM2M(Machine-to-Machine)規格に対応する無線モジュールだ。u-bloxは、「LTE Cat 1」「LTE NB(Narrow-Band)1(NB-IoT)」「LTE Cat M1」に対応するモジュールの開発に早くから着手してきたが、当初は他社の通信用チップセットを採用していたが、2016年11月に発表したLTE Cat 1対応の「LARA-R3121」には、自社開発のチップセットを搭載した。これは、セルラーM2M市場の成長が今後加速していくと、同社が見込んでいるからだ。ABI Researchの予測によると、セルラーM2M対応モジュールの世界出荷台数は、2016〜2021年の5年間で、年平均成長率35%で伸びていくという。

「モジュールありき」のビジネスモデルを維持するのか

 モジュールメーカーとして20年間、事業を続けてきたu-bloxだが、今後、現在とは異なるビジネスモデルを展開する可能性はあるのだろうか。Seiler氏は、「u-bloxは設立当初から、GNSSを使った測位や無線通信のコア技術を開発しており、それを、顧客が最も使いやすい形で提供できるのが、モジュールだと考えている。そのため、モジュールを提供するというビジネスモデルは今後も変わらず、われわれの事業の中核に据えていく。モジュールとともに提供するサポートやサービスなど、ハードウェア以外の部分については、市場のトレンドを見ながら、時代に合わせて柔軟に変えていく必要があるだろう」と語った。

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